3月は啓蟄を迎え、日ごとに春めいてくる季節ですが、まだ寒暖差が大きく、体調を崩しやすい時期でもあります。そんな時だからこそ、相手を気遣う温かい挨拶を心がけたいものです。この記事では、ビジネスシーンとプライベートの両方で使える3月の時候の挨拶を、上旬・中旬・下旬に分けてご紹介します。メールの文例や書き出し、結びの言葉まで解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
挨拶文の基本構成
挨拶文は、相手に気持ちや意図を伝えるための大切なツールです。ビジネスやプライベートなど、様々な場面で活用されます。ここでは拶文を書く上での構成や基本的なポイントを解説します。
既にご存じの方は、読み飛ばしていただいて構いません♡
【挨拶文の基本構成】
基本的な構成要素は（前文、本文、末文、後付）になります。ただし相手によっては省かれる要素もあります。
| 要素 | 内容 | 備考 |
| 前文 | 1）頭語（拝啓など）を書き、 2）「時候の挨拶」 3）相手の安否を気遣う言葉 4）お礼があれば書く | 相手のお見舞いのなどの時は4）は省くこともあります。 |
| 本文 | 1）本文に入る際「ところで」「さて」「このたびは」などを使い本文に入ります。 | 本文は、わかりやすく書くこと。 |
| 末文（結語） | 1）結びの挨拶を書き、 2）「敬具」など | 文章全体を締めくくる言葉で、相手への敬意や感謝を表します。 |
| 後付 | 1）日付を書き、 2）署名（差出人名） |
「書き出し」と「結び」とは？
↓「書き出し」と「結び」もよく聞くけどなにかな？
書き出し: 文の始まりを指し、前文の一部となります。時候の挨拶や相手への呼びかけなどが該当します。
結語：文章の最後の部分で、末文に相当する部分です。
前文・本文・末文・後付け は、挨拶文をより詳細に構成する要素を指します。
つまり、「書き出し」は「前文」と、「結語」は「末文」とほぼ同じ意味で使われることが多いです。
時候の挨拶とは？
手紙や挨拶状の冒頭で、季節や天候に応じた言葉を用いて相手の安否や健康を気遣うものです。
季節を表す言葉
「～の候」といった形式で、かしこまった文書やビジネス文書でよく使われます。
例：陽春の候、皆様におかれましては益々ご清祥のこととお慶び申し上げます。
相手の安否や健康を気遣う言葉
例：桜の便りが聞かれる頃となりましたが、皆様お変わりございませんか。
こちらの様子を伝える言葉
例：おかげさまで元気に過ごしております、寒さ厳しき折からご自愛くださいなど。
3月の時候の挨拶
3月の時候の挨拶は、春の訪れを感じさせる言葉を選ぶのが特徴です。「早春の候」「啓蟄の候」といった漢語調の挨拶や、「日ごとに暖かさを増し、春めいてまいりました」「桜の開花が待ち遠しい季節となりました」といった口語調の挨拶がよく使われます。
時候の挨拶は、季節の移り変わりや気候の特徴を表現する言葉です。使うタイミングは明確に区切れないこともありますが、以下に使用の目安をまとめましたので、参考にしてみてください。
| 時候の挨拶 | 意味 | 使用時期の目安 |
| 啓蟄の候 | 冬眠していた虫たちが目覚め、活動を始める時期になったことを知らせる言葉です。 | 3月5日～3月20日ごろ |
| 浅春の候 | まだ寒さが残るものの、春の兆しが見え始める時期に使われます。 | 2月下旬～3月上旬 |
| 早春の候 | 春の初めの時期に使われます。 | 2月上旬～3月上旬 |
| 春和の候 | 春の穏やかな気候を表す言葉です。 | 3月中旬～4月上旬 |
| 弥生の候 | 旧暦三月を表す言葉で、草木が芽吹き始める時期に使われます。 | 3月全般 |
| 軽暖の候 | 春の暖かく穏やかな気候を表す言葉です。 | 3月上旬〜3月中旬 |
| 萌芽の候 | 草木の芽が出始める時期に使われます。 | 3月中旬～3月下旬 |
| 麗日の候 | 春の穏やかで美しい日和を表す言葉です。 | 3月全般 |
| 春色の候 | 春の景色が色鮮やかになる時期に使われます。 | 3月中旬～3月下旬 |
| 春暖の候 | 春の暖かな気候を表す言葉です。 | 3月中旬～4月中旬 |
3月の挨拶文：ビジネスシーン
3月は年度末や季節の変わり目で、異動・卒業・送別などの話題が多くなる時期です。
ビジネスシーンに適した丁寧な書き出しと結びの例を、上旬・中旬・下旬に分けて紹介します。
メールにも活用できます♡
3月上旬の挨拶文
3月上旬は、春の訪れを感じ始める時期です。「早春の候」「浅春の候」「啓蟄の候」といった言葉を使うと、季節感を表現できます。
【書き出し文例】
・早春の候、貴社におかれましては益々ご清栄のこととお慶び申し上げます。
・年度末を迎え、何かとご多忙のことと存じますが、お変わりなくお過ごしでしょうか。
・梅の花がほころぶ季節となりました。貴社の皆様におかれましては、益々ご健勝のことと存じます。
【結びの文例】
・春寒の折、お体を大切にお過ごしください。
・年度末のお忙しい時期かと存じますが、どうぞご自愛くださいませ。
・新たな季節の始まりに、貴社のさらなるご繁栄をお祈り申し上げます。
・何かとお忙しい時期かと存じますが、ご無理なさらぬようご自愛くださいませ。
3月中旬の挨拶文
3月中旬は、春の訪れを感じつつも、まだ寒暖差が大きい時期です。ビジネスシーンでは、相手の体調や状況を気遣う言葉を添えると、より丁寧な印象になります。
【書き出し文例】
・春暖の候、貴社ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。
・日ごとに春めいてまいりましたが、貴社におかれましてはいかがお過ごしでしょうか。
・春本番が近づいてまいりました。貴社の皆様にはお健やかにお過ごしのことと存じます。
【結びの文例】
・季節の変わり目、くれぐれもお身体を大切になさってください。
・春の訪れとともに、貴社のさらなるご発展をお祈り申し上げます。
・新年度に向けて、ますますのご活躍を心よりお祈り申し上げます。
・年度末でご多忙とは存じますが、くれぐれもご自愛くださいませ。
3月下旬の挨拶文
3月は年度末にあたり、ビジネスシーンでは特に挨拶文を送る機会が多くなります。
【書き出し文例】
・春分の候、貴社ますますご隆盛のこととお喜び申し上げます。
・年度末もいよいよ大詰めを迎え、ご多忙のことと拝察いたします。
・新年度を迎える準備でお忙しいことと存じますが、貴社におかれましてはいかがお過ごしでしょうか。
【結びの文例】
・桜の便りとともに、貴社のさらなるご発展をお祈り申し上げます。
・新年度も変わらぬご愛顧を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
・新年度に向けてお忙しいことと存じますが、どうぞご自愛くださいませ。
3月に使えるビジネス挨拶メール文
時候の挨拶：3月は「早春」「春分」「啓蟄」「人事異動」など、季節や行事に関する言葉を盛り込むと良いでしょう。締めくくりは、今後の協力や発展を願う言葉がおすすめです。挨拶文を送る相手や状況に合わせて、適宜変更・加筆してご活用ください。
年度末の繁忙や、新年度準備で忙しい相手の状況を考慮した言葉遣いを心がけましょう♡
件名：〇〇のお礼
〇〇株式会社
〇〇様
早春の候、貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
3月に入り、日ごとに春めいてまいりました。
貴社におかれましては、新年度に向けご多忙の日々をお過ごしのことと存じます。
さて、〇〇様には〇〇の件では大変お世話になり、誠にありがとうございました。
（本文）
新年度も変わらぬご指導ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。
末筆ではございますが、皆様のご健勝と貴社の益々のご発展を心よりお祈り申し上げます。
△△会社 △△
件名：人事異動のご挨拶
〇〇株式会社 〇〇様
時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
さて、私こと〇〇は、このたびの人事異動により、〇〇部〇〇課へ配属となりました。
つきましては、後任の〇〇が、近日中に改めてご挨拶にお伺いさせていただきます。
〇〇様には、〇〇部在籍中は格別のご厚情を賜り、誠にありがとうございました。
新任部署におきましても、皆様のご期待に沿えるよう、より一層努力してまいります。
今後とも変わらぬご指導ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。
△△会社 △△
「時下」は通年使える挨拶です♡
3月の挨拶文：プライベート
3月は季節の変わり目であり、「春の訪れ」「別れと出会い」「年度末」「花粉症」「卒業・新生活」といったテーマがよく検索されます。プライベートな手紙やメール向けに、3月上旬・中旬・下旬の書き出し と結びの言葉を紹介します。
3月上旬の挨拶文
まだ寒さが残るが、春の兆しが見え始める頃ですね。親しみやすい言葉遣いを心がけましょう♡
【書き出し文例】
・だんだん日が長くなり、春が待ち遠しいですね。
・ひな祭りの季節となりました。春の訪れを感じますね。
・梅の花がほころび、春らしさを感じるようになりました。
・少しずつ春の気配を感じるこの頃、いかがお過ごしですか。
【結びの文例】
・新しい季節が素晴らしいものになりますように。
・花粉症に負けず、元気に春を迎えられますように。
・春の訪れを楽しみつつ、素敵な日々をお過ごしください。
3月中旬の挨拶文
3月中旬の特徴は、春本番へ向かう時期、桜の開花が話題になる（早い地域では咲き始める）、ホワイトデー（3月14日）、卒業・異動の話題などがあります。
【書き出し文例】
・柔らかな日差しに、心が弾む季節になりましたね。
・春の陽気に包まれ、気持ちのよい日が増えてきましたね。
・すっかり春めいてきましたね。いかがお過ごしでしょうか。
・卒業シーズンですね。新しい門出を迎える方々に祝福を送りたいですね。
【結びの文例】
・春の訪れとともに、心温まる日々をお過ごしください。
・花粉症がつらい時期ですが、どうかご無理なさらずに。
・穏やかな春の風とともに、幸せな日々をお過ごしください。
・桜が咲くのが待ち遠しいですね。どうぞ健やかにお過ごしください。
3月下旬の挨拶文
3月下旬の特徴は、卒業、異動、引っ越し、出会いと別れの季節、年度末の忙しさなどがあります。
【書き出し文例】
・桜が満開になり、お花見が楽しみですね。
・春の暖かな日差しに包まれ、気持ちも明るくなりますね。
・桜が咲き始め、いよいよ春本番ですね。いかがお過ごしですか。
・卒業や異動の季節ですね。新たな門出を迎える皆さんが幸せでありますように。
【結びの文例】
・4月からの新生活が素晴らしいものになりますように。
・春の喜びを胸に、新たな一歩を踏み出してくださいね。
・桜の美しさを楽しみつつ、心穏やかにお過ごしください。
・お忙しい時期かと思いますが、お体を大切になさってください。
・変わりゆく季節の中で、新たな出会いを大切にしていきたいですね。
3月に使えるメール文例
3月は、卒業、入学、異動、退職など、人生の節目となるイベントが多く、また、年度末で多忙な時期でもあります。参考にしてみてください。
↓目上の人に対して使える文例です。参考にしてみてください♡
件名：ご卒業/ご入学おめでとうございます
〇〇様
春暖の候、〇〇様にはますますご清祥のこととお慶び申し上げます。
この度は、〇〇（お子様）の〇〇（学校名）ご卒業/ご入学、誠におめでとうございます。
常々〇〇様の〇〇（お子様）の成長について伺っておりましたので、
私どもも自分のことのように嬉しく思っております。
つきましては、心ばかりではございますが、お祝いの品をお贈りさせていただきたく、
別便にてお送りいたしましたので、ご笑納いただければ幸いです。
末筆ながら、〇〇様の今後のご健勝とご多幸を心よりお祈り申し上げます。
△△
件名：ご退職おめでとうございます
〇〇様
春暖の候、〇〇様にはますますご清祥のこととお慶び申し上げます。
この度は、長年勤められた〇〇（会社名）をご退職されるとのこと、誠におめでとうございます。
〇〇様には、長年にわたり公私共にお世話になり、感謝の念に堪えません。
第二の人生を迎えられる〇〇様の今後のご健勝とご多幸を心よりお祈り申し上げます。
つきましては、心ばかりではございますが、お祝いの品をお贈りさせていただきたく、
別便にてお送りいたしましたので、ご笑納いただければ幸いです。
末筆ながら、〇〇様のご健康と今後のご活躍を心よりお祈り申し上げます。
△△
件名：先日はありがとうございました
早春の候、〇〇様におかれましては、ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。
先日は、ご多忙中にもかかわらず、貴重なお時間をいただき、誠にありがとうございました。
〇〇様からいただいたご指導は、今後の業務に大変参考になるものばかりで、深く感謝しております。
今後とも、ご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます。
季節の変わり目ですので、くれぐれもご自愛ください。
△△
まとめ
3月は、決算・年度末、人事異動、卒業、春のイベントなど、多くの出来事が重なる時期です。これらの節目は、日頃お世話になっている方々へ挨拶をする絶好の機会となります。この記事でご紹介した例文を参考に、ぜひ素敵な3月の挨拶文を作成してみてください。
