「この資料、ご参考になさってください」と、ビジネスシーンで使ったことがあるかと思います。「ご参考になさってください」は、二重敬語?それとも正しい敬語?と疑問に思う方もいるでしょう。この記事では、「ご参考になさってください」の意味や使い方、そしてより相手に配慮した表現方法についてご紹介します。
目上の人に資料を参考にしてもらいたい時、なんと言えばいいのか悩みます。「ご参考になさってください」でもいいのですか?
OKですが、ほかの言い換えも知っておくといいですよ♡
※「ご参考になさってください」の言い換えはこちらです。
「ご参考になさってください」の意味
「ご参考になさってください」とは、相手に何かを参考にして欲しい時に使う丁寧な表現です。意味は「この資料や情報などを参考にしてください」になります。
ビジネスシーンでは、資料や提案書などを送付する際によく使われます。目上の人に使う場合は、「ご参考になさってください」などの丁寧な表現を使うようにしましょう。
「ご参考になさってください」は丁寧な表現ですが「ください」が命令系のため、相手に合わせて言い換えもしましょう。言い換えはこちらです。
「ご参考になさってください」は、二重敬語ではありません
「ご参考になさってください」は二重敬語ではないと考えています。「ご参考になさってください」の構成をみてみましょう。
「なさる」尊敬語 + 「ください」丁寧語 だからです。
「ご参考になさってください」とは「お〜なさる」「ご~なさる」のため1つの尊敬表現になります。
・どうかお大事になさってください。
・部長が、その企画について、お決めなさいます。
「ご参考になさってください」の使い方
「ご参考になさってください」は、相手に「参考にしてもらいたい」という気持ちを丁寧に伝える敬語表現です。
「ご参考になさってください」と「参考にしてください」は、どちらも同じ意味で使えますが、丁寧さの度合いが異なります。どちらを使うかは、相手や状況に合わせて使い分けることが大切です。
「ご参考になさってください」は、以下のような場面で使うことができます。相手にどのように伝えたらいいのか考えてみましょう。
「ご参考になさってください」の例文
ビジネスシーンでよく使う「ご参考になさってください」の例文です。
【資料を渡す時】
・こちらの資料をご参考になさってください。
・こちらの資料をご参考にしていただければ幸いです。
・ご提案させていただいた内容が、ご参考になれば幸いです。
・資料をご用意いたしましたので、ご参考になさってください。
【目上の人に参考にしてもらいたい時】
・私の提案が、少しでもご参考になれば幸いです。
・こちらの資料を、どうぞご参考になさってください。
・資料をご用意いたしましたので、もしよろしければご参考になさってください。
【ここでのポイント】
「どうぞ」は、丁寧語の「ぜひ」の意味合いで、相手に強く勧める気持ちを表現する言葉です。
「少しでも」は、少しでも参考になってほしいという、相手に謙虚な姿勢を表現する言葉です。
「もしよろしければ」は、参考にするかどうかは、相手に委ねるという意味合いの丁寧な表現です。
「ご参考になさってください」でも丁寧なのですが、これらの言葉を組み合わせることで、相手に参考にしてもらいたいという気持ちを丁寧かつ気遣いを持って伝えることができます。
【社内での会話】
先輩がお忙しそうでしたので、明日の会議の資料を用意いたしました。もしよろしければご参考になさってください。
どうもありがとう。とても助かります。
「ご参考になさってください」が適切に使えていますね♡
「ご参考にしてください」と「ご参考になさってください」の違いってなんですか?
誰の行動なのか考えるといいですよ。
「ご参考になさってください」と「ご参考にしてください」の違い
「ご参考になさってください」と「ご参考にしてください」の違いとは、「参考になさる」と「参考にして(する)」の使い方の違いです。
「ご参考になさってください」は、相手の行為・動作を尊敬する時に使われる敬語表現です。例えば、上司や先輩など、目上の人に対して、自分の意見や考えなどを参考にしてもらいたい時に使います。
「ご参考にしてください」は、相手の行為・動作を丁寧に促す時に使われる敬語表現です。例えば、同僚や部下など、目下の人に対して、自分の意見や考えなどを参考にしてもらいたい時に使います。
わかりやすく、例文を挙げます♡
例えば、上司に「私のやり方をご参考にしてください」と言う使い方は誤りです。正しく言い換えると、
・私のやり方をご参考になさってください。
・私のやり方を参考にしていただければ幸いです。 になります。
※「ご参考にしてください」は、「お〜する・ご〜する」は自分の行為・動作に使われる謙譲語です。そのため、上司に相手の行為・動作に使うことは、相手をへりくだらせることになり、失礼になります。
「ご参考になさってください」を丁寧にしたフレーズをみていきましょう♡
「ご参考になさってください」の敬語表現
「ご参考になさってください」は、相手の行為・動作を尊敬する時に使われる敬語表現です。目上の人や敬意を払う場面でも使える丁寧な敬語表現もみていきましょう。
「ご参考になれば幸甚に存じます」「ご参考いただければ幸甚に存じます」
意味:もしもあなたが参考にしてもらえたら、私も幸せです。
使い方:「幸甚(こうじん)」は、「とても嬉しい」です。「存じます」は、「思います」という意味の謙譲語です。とても丁寧な言葉のため、目上の人や敬意を払う場面で使います。
例文:私の提案が、少しでもご参考になれば幸甚に存じます。
「ご参考になることを願っております」
意味:「参考にしてもらうことで、相手が助かってくれることを願っています」という気持ちを丁寧した敬語表現です。
例文:
・資料をご用意いたしましたので、ご参考になることを願っております。
・来月の企画に関して資料をまとめました。ご参考になることを願っております。
「ご参考になれば幸いです」
意味:相手に何か情報を提供した際に、「この情報が、あなたの何かのお役に立てれば嬉しいです」という意味の丁寧な敬語表現です。以下は似た意味合いになります。
・ご参考いただければ幸いです
・ご参考いただければと存じます(参考にしてもらえたらと思いますという意味)
・ご参考していただけますと幸いです
・ご参考にしていただければ幸いです
例文:
・資料を用意いたしましたので、ご参考になれば幸いです。
・私が以前読んで役立ったので、ご参考にしていただければ幸いです。
「ご参考になさってください」の言い換え
「ご参考になさってください」は、相手に「参考にしてもらいたい」という意味の丁寧な表現です。以下、言い換え表現について、それぞれの特徴と例文を詳しくご紹介します。
「ご参考までに」
「ご参考までに」とは、何かを相手に教える際に、参考にしてもらいたいという気持ちを丁寧に伝えるための敬語表現です。あくまでも参考程度に読んでもらうことの意味になります。
・ご参考までに、いくつか事例を挙げておきます。
・資料をご用意いたしましたので、ご参考までにご覧ください。
「ご一読ください」
「ご一読ください」は、相手に何かを読んでほしい時に使われる言葉です。書類や資料の内容をよく確認して理解してもらいたい時に使われます。
・資料をご一読いただき、ご確認をお願いいたします。
・契約書についてご一読いただき、ご不明な点がございましたら、お問い合わせください。
「ご検討ください」
「ご検討ください」とは、ある事柄についてよく考え、判断するように依頼する表現です。商品やサービスの提案など、相手に対して何かをお願いする際によく使われる敬語表現です。
・来週の打ち合わせの日時について、ご検討ください。
・新商品の導入について、ご検討のほどよろしくお願いいたします。
まとめ
「ご参考になさってください」は、ビジネスシーンや日常生活でよく使われる言葉です。相手に参考にしてもらいたいという気持ちを丁寧に伝えることができる表現です。そのため、敬語表現について調べる方も多いかと思います。「ご参考になさってください」は、正しい敬語表現ですが、目上の人に対して使うには少し丁寧さに欠ける場合があります。そのような時は「ご参考していただけますと幸いです」などを使いましょう。