「適宜」(てきぎ)とは「状況に応じてふさわしい行動をとること」「それぞれの判断で行動してもらう」という意味を持ち、会話中や文書の書面上で使う言葉です。例えば「休憩は適宜とってください」だと「それぞれの判断で休憩をとってください」という意味になります。
「適宜」は、相手の判断に委ねる(ゆだねる)ことになりますので、指示や依頼をする際に相手が困らないように使えたらいいですね。目上の人やビジネスの場で使う時には、丁寧な言葉遣いと合わせて使うようにしてみましょう。「適宜」の使い方についてご参照いただければ幸いです
シチュエーションに適した言葉遣いができるといいですね。
「適宜」とは
「適宜」の意味や構成についてみていきましょう。
「適宜」
意味:「それぞれの判断で行動してもらう」「状況に応じてふさわしい行動をとること」という意味を持ちます。
まずは「適宜」の意味を理解して、使い方を学ぼう!
「適宜」の言葉の構成からも分かるように、「適宜」とは「その時の状況にあわせた」といったニュアンスですね。
「適宜」の読み方
「適」は「てき」と読みます。よく使われている単語としては「適切(てきせつ)」の「てき」にあたる部分です。
「宜」は「ぎ」と読みます。「宀」うかんむりの下に「目」を書いて、いちばん下の横線がつき抜けます。「宜しく(よろしく)」と同じ漢字です。
あわせて「てきぎ」と読みます。
「適宜(てきぎ)」の読み方、難しいですよね。
「適宜」の使い方
「適宜〜してください」と「適宜〜します」と使います。例文をみていきましょう。
「適宜〜してください」
・適宜休憩時間を取ってください。
・にんじんを適宜な大きさで切ってください。
・お客様から連絡がきましたら、適宜対応してください。
「適宜〜します」
・会議中のご質問は適宜承りますので、どうぞご質問くださいませ。
・適宜対応いたしますので、ご安心ください。
「適宜〜してください」と「適宜〜します」と使います。
「適宜」の例文
下記の会話にて、上司は「それぞれの判断で行動してもらう」という意味で適宜を使い、部下は「状況に応じてふさわしい行動をとる」という意味で適宜を使っています。
【社内での会話】
メールを見ました。進捗状況は、適宜連絡してください。(相手に報告のタイミングを委ねていることになります)
承知いたしました。適宜報告いたします。(希望しているタイミングを判断しなければいけない)
「適宜〜してください」といわれて、どのくらいのタイミングで連絡したらいいか困ってしまいますよね。「適宜〜してください」のいいかたを工夫してみましょう。
「適宜連絡してください」ではなく「〜した場合は、適宜連絡してください」「〜になったら、適宜連絡してください」を使ってみましょう。
【社内での会話】
もし、うまくいかないようだったら、進捗状況は、適宜連絡してくださいね。
承知いたしました。その際は、適宜報告いたします。(うまくいかなかった時に連絡すればいいのか)
判断しやすくなりますね。次はよく使われる「適宜の例文」をあげてみました!
【例文】
・資料は適宜ご利用ください。
・資料は適宜ご活用ください。
・資料は適宜お使いください。
・連絡があった際は、適宜対応お願いします。
【社外の人との会話】
いただいた資料は、今後も活用したほうがよいですか。
お渡しした資料は、適宜ご活用いただけますと幸いでございます。
「幸いです」は、してもらえるとうれしいですという意味です。丁寧にやわらかく依頼をする表現が使えていいですね。
「適宜」目上の人に使う時
「適宜〜してください」は丁寧語ですが、「ください」が命令されているように感じることもあるため、謙譲語、尊敬語とあわせて使ってみましょう。相手との関係性やシチュエーションにあわせて適切な使い方ができたらいいですね。
【社内での会話】
今日は忙しくなりますので、適宜休憩をお取りくださいますようお願いいたします。
了解しました。どうもありがとう。
うまく使えていますね。「〜ください」を丁寧でやわらかい表現にするには?もう少し言い換えをみてみましょう。
【言い換え】
※とても丁寧な言葉遣いになるため、目上の人や社外の人向けに使う方がよいです。
・いただきますようお願い申し上げます。
・くださいますようお願い申し上げます。
・いただければと存じます。
・いただきたく存じます。
「ください」を謙譲表現の「いただく」にすることで命令されている感じがなくなります。「ますよう」を使うことでやわらかい言葉遣いになりますね。
適宜の類語、似た言葉
「適宜」と似た言葉をみていきましょう。
1.適時(てきじ)
2.適切
3.随時(ずいじ)
4.然るべき(しかるべき)
5.必要に応じて
適時(てきじ)
意味:ちょうどいい時に
例文:適時にお昼ごはんをとってください。
適切(てきせつ)
意味:その状況にあてはまること
例文:適切な言葉を使う。
随時(ずいじ)
意味:状況にあわせて、臨機応変にする
例文:随時募集しています。
然るべき(しかるべき)
意味:そうあるべき、そうあるのが当然
例文:然るべき対応をする。
必要に応じて(ひつようにおうじて)
意味:状況にあわせて、対応する
例文:必要に応じて、資料をお持ちいたします。
まとめ
「適宜」は「それぞれの判断で行動してもらう」「状況に応じてふさわしい行動をとること」という意味です。「適宜」を使う際は相手との関係性やシチュエーションにも配慮しましょう。相手を気遣うことで丁寧な言葉遣いができたらいいですね。
「適宜」についてご参照いただければ幸いです。