「どなたでもご利用できます」、「〇〇はご利用できます」は、ビジネスシーンや日常でよく耳にする言葉ですが、本当に正しい使い方なのでしょうか? 目上の方や取引先とのやり取りでは、より丁寧な表現を使いたいものです。この記事では、「ご利用できます」の意味や正しい使い方を、具体的な例文とともにわかりやすく解説します。
「ご利用できます」とは正しい使い方?
「ご利用できます」は、丁寧な言葉としてよく耳にする表現ですが、厳密に言うと、敬語の使い方としては注意が必要です。
「ご利用できます」は、「ご利用する」という謙譲語を「できます」の形にしたものです。謙譲語は、自分が相手に対してする行為を謙遜して表す言葉です。例えば、「説明いたします」「お願いいたします」などが謙譲語にあたります。
しかし、「ご利用できます」は、相手が何かをすることができる、つまり相手の行動について述べています。そのため、謙譲語を使うのは少し不自然になってしまいます。
↑「説明いたします」「ご利用できます」の謙譲語のニュアンスの違いをわかりやすく説明します♡
「説明いたします」
・自分が相手に対して行う「説明する」という行為を謙遜して表しています。
・自分が主体となって行う行為なので、謙譲語を使うのが適切です。
「ご利用できます」
・相手が何かをすることができる、つまり相手の行動について述べています。
・自分が主体ではなく、相手が主体となる行為なので、謙譲語ではなく尊敬語を使うのが適切です。
「ご利用できます」はどんな敬語?
「ご利用できます」の敬語とは、謙譲語の「ご〜する」を可能にした表現「ご〜できる」になります。
この場合、謙譲語として「ご利用できます」を使うのではなく、「ご利用になれます」「ご〜なれる」の尊敬語を使う方が適切です。
OKな使い方は3つあります
・「ご利用になれます」は「ご〜なれる」で尊敬語
・「利用できます」は丁寧語
・「ご利用いただけます」は謙譲語
(↑「いただけます」は自分が主体となって行う行為なので適切です。)
敬語の種類についておさらいしてみましょう。
【尊敬語・謙譲語・丁寧語】
尊敬語 | 相手のことを高めて敬意を表す | おっしゃる、お会いになる、いらっしゃる |
謙譲語 | 自分を低くして敬意を表す | 申す、お目にかかる、おる |
丁寧語 | 丁寧な言葉で敬意を表す | 言います、会います、います |
「ご利用できます」とか「ご利用できません」とか日常でたくさん使われていますよね。
そうですね。「ご利用できません」と言うより、「ご利用なれません」の方が丁寧ですし、きちんと使い分けができたら印象もいいですよ♡
「ご利用できます」の言い換えと例文
「ご利用できます」は場面や相手によって様々な言い換えが可能です。より丁寧な表現や、状況に合わせて以下のような言い換えと例文を参考にしてみてください。
ご利用になれます:お客様は、このサービスをご利用になれます。
ご利用いただけます:お客様にもこのサービスはご利用いただけます。
ぜひご利用ください:ぜひ、このサービスをご利用ください。
お使いいただけます:この機能をお使いいただけます。
「ご乗車できません」「ご使用できます」も適切に使いましょう
「ご乗車できません」「ご使用できます」も誤って使われることが多い表現です。こちらも「ご利用できます」と同様に謙譲語として「ご乗車できません」「ご使用できます」を使うのではなく言い換えてみましょう。
❌「ご乗車できません」
⭕️ご乗車になれません:大変申し訳ございませんが、今回はご乗車になれません。
⭕️ご利用いただけません:この路線は、現在ご利用いただけません。
❌「ご使用できます」
⭕️ご使用になれます:事前の申請によりご使用になれます。
⭕️ご使用いただけません:大変恐縮ですが、現在弊社のサービスはご使用いただけません。
難しいですが、言葉のパターンを覚えてしまえば大丈夫です♡
まとめ
謙譲語は丁寧な言葉ですが、使う時の意味を考えてみましょう。誤解を招く可能性があります。丁寧な言葉を使いたい場合は、文脈に合わせて適切な表現を選ぶことが大切です。上の使い方や例文を参考にしてみてください。