会社の上司や、あらたまった場で耳にする「新年のご挨拶に代えさせていただきます」。新年の挨拶なのに「代える」という表現に、「失礼にならないのか?」「正しいマナー?」と疑問に感じたことはありませんか?この言葉は丁寧さを伝えられる表現ですが、正式な挨拶を避ける言い回しであるため、使用シーンを間違えると「誠意がない」と受け取られることもあります。本記事では、「新年のご挨拶に代えさせていただきます」の意味、使う際の適切な状況、失礼なく使えるビジネス例文や年賀状やメールでの類似表現との使い分けまでご紹介しています。参考にしてください。
「新年のご挨拶に代えさせていただきます」の本当の意味
「新年のご挨拶に代えさせていただきます」とは、正式な新年の挨拶を簡略化してお伝えする際に用いる表現です。ただし、単に挨拶を省略するための言葉ではなく、この表現には“相手への配慮を込めた丁寧なニュアンス”が含まれています。ここからは、その丁寧な意味合いについて、解説していきます。

↓以下のような意味合い・ニュアンスです♡
・代える:本来すべき形式的なご挨拶(儀礼的な訪問など)を、「この場での言葉」に置き換えさせていただく。
・させていただく:相手にこの略式的な方法を「お許しいただく」という謙譲表現です。
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全体の意味合い:「本来ならば、お一人おひとりに改めて丁寧にご挨拶に伺うべきところですが、皆様のお忙しさを考慮し、こちらの言葉をもって正式なご挨拶とさせていただくことをお許しください」になります。相手の時間を尊重し、ご迷惑をかけないための配慮を込めているのです。
「させていただく」は、「させてもらう」の謙譲語で、相手への敬意を表す敬語表現です。一般的に、「させていただく」は、相手の許可や恩恵を受けて行う行為に用いられます。
【使い方とマナー】失礼にならない「新年の挨拶に代える」適切な場面
「新年のご挨拶に代えさせていただきます」を使うべき適切な場面と、避けるべきNGシーンを解説します。

失礼にならない、マナーを守った正しい使い方をしましょう♡
【使っても良い場面】
社内全体:仕事始めの朝礼、全体会議での挨拶の締めくくり。部署全体への新年の挨拶メールの結び。
社外:年始早々、年賀状を出す前に急ぎで連絡する際。
【控えた方が良い場面】
特に重要な取引先への個別挨拶:相手への敬意を示すため、略式表現は避けるべきです。
目上の人への一対一の挨拶:貴重な機会のため、最後まで省略せずに丁寧に挨拶を伝える。
【例文集】すぐ使える!相手に気持ちが伝わるビジネス例文
口頭・メール・会議などシーン別に、そのまま使える「新年のご挨拶に代えさせていただきます」の例文をご紹介。相手への配慮が伝わる言葉遣いで、新年の挨拶を気持ちよくしましょう。
口頭での挨拶・スピーチの結びの例文:仕事始めの朝礼など、全体の場での挨拶の終わりに使います。

「本日はお集まりいただき、誠にありがとうございます。私からの新年のご挨拶は、こちらの言葉に代えさせていただきます。本年も皆様と共に、一丸となって目標達成を目指してまいります。どうぞよろしくお願いいたします。」
年始早々の会議・打ち合わせでの例文:取引先や社内のメンバーとの年始最初の会議の冒頭に使います

「皆様、新年あけましておめでとうございます。皆様のお時間を優先させていただきたく、私からの新年のご挨拶は、この冒頭の言葉に代えさせていただきます。それでは早速ですが、本日の議題に入らせていただきます。」
社内全体メール(または一斉メール)での例文:社員や関係者へ一斉に送るメールの結びに使います。

「略儀ではございますが、メールにて新年のご挨拶に代えさせていただきます。皆様のご健勝とご多幸を心よりお祈り申し上げますとともに、本年も変わらぬご協力とご支援をお願いいたします。」
【言い換え表現】状況別・相手に合わせた「新年のご挨拶」の伝え方
「新年のご挨拶に代えさせていただきます」以外にもビジネスシーンで使える言い換え表現をご紹介します。目上の人への敬意、時間短縮、書面などで、相手に配慮した表現を使いましょう。
| 挨拶 | 使える場面 | ニュアンス |
| 新年のご挨拶とさせていただきます | メール、書面、全体への口頭での挨拶 | 最も一般的。ビジネスシーンで多用されます。 |
| 新年のご挨拶を申し上げます | 書面(メール、挨拶状) | 謙譲語「申し上げる」を使い、丁寧さを示す表現。 |
| 新年のご挨拶といたします | 会議、式典、締めの言葉 | 挨拶をここで終わらせるという形式的な区切りを丁寧に伝える表現。 |
| 本来であれば直接ご挨拶に伺うべきところ、書面にて失礼いたします | 年始の手紙、改まったメール | 直接会えないことを丁重に詫びる、誠意が伝わる表現。 |

↓ポイントです♡
メールや文書では「新年のご挨拶とさせていただきます」がおすすめです。
理由: 「代える」には「本来のものを省略する」というニュアンスが強いため、「させていただきます」を使う方が、相手に「形式上の丁寧な挨拶」として受け取ってもらいやすいからです。
年賀状での結びの言葉に「代える」は使わない?
年賀状はそれ自体が正式な新年の挨拶文です。そのため、挨拶を「代える」という表現は適切ではありません。
⭕️年賀状の結び:
「皆様のご健康とご多幸を心よりお祈り申し上げます。」
「本年が、皆様にとって輝かしい一年となりますようお祈り申し上げます。」
まとめ
「新年のご挨拶に代えさせていただきます」は、丁寧さと気配りを伝えられる新年のビジネス表現です。正式な挨拶を簡潔にまとめながらも、相手への敬意をしっかり示す言い回しとして使われます。
状況によっては、より分かりやすい表現に言い換えることもできますが、大切なのは相手に失礼のない丁寧な姿勢です。この一言を添えるだけで、気持ちよく新年のやり取りを始めることができるでしょう。こうした表現を上手に使いながら、今年一年を気持ちよくスタートさせましょう。


