「そちら様」「そちらにどうぞ」などビジネスシーンでも「そちら」はよく使われる言葉です。「そちら」は便利な言葉ですが、目上の人や丁寧な場面では、より丁寧な表現を使うことが大切です。
この記事では、「そちら」の意味や使い方、そしてビジネスシーンで使える言い換えや敬語表現、注意点について詳しく解説します。
「そちら様」を使っています。使うのはよくないですか?
使っても良いのですが注意すべきことがあります。一緒にみていきましょう。
「そっち」を丁寧にしたのが「そちら」です。「そちら」は敬語ではありませんが、改まり語という丁寧な言葉になります。ビジネスシーンで正しく使いましょう。
※「改まり語」の説明はこちらです。
「そちら」の意味と使い方
「そちら」は、話し手と聞き手の位置関係を表す指示代名詞です。話し手よりも聞き手に近い場所や方向を指す言葉として使われます。
まずは上記の内容をおさえましょう♡
1. 方向を表す
聞き手に近い方向を表す場合に使います。
例文)
・そちらのお天気は良いでしょうか。
・そちらの奥が会議室です
2. 場所を表す
聞き手のいる場所、または聞き手の近くにある場所を表す場合に用いられます。
例文)
・そちらの道を曲がったところに駅があります。
・そちらの建物を目印に進んできてください。
3. 人や物を表す
聞き手の近くにいる人や物を表す場合に使います。
例文)
・そちらのお客様から、ご質問がありました。
・そちらの資料をご確認ください。
4. 相手を敬う表現として使う
「そちら」に敬称をつけて丁寧で相手を敬う表現として使います。
例文)
・そちら様のご意見をお願いいたします。
・そちら様は、どのような事業をされていますか?
「そちら」は改まり語
「そちら」は、改まり語(あらたまりご)の一つです。フォーマルな場面で使う言葉です。改まり語を使うことで、相手に敬意を払い、より丁寧な印象になります。日常会話では「そこ」「そっち」を使いますが、フォーマルな場面では「そちら」を使うほうがより丁寧です。
【改まり語の例】
あれ→あちら
いつも→平素
わたし→わたくし
おととい→一昨日(いっさくじつ)
ビジネスシーンで「そちら」を使う際の注意点
「そちら」は、目上の人に対して使う場合は丁寧な表現ですが、状況によっては失礼と捉えられることもあります。より丁寧な言い換え表現を使うことを心がけましょう。
目上の人に対して使う場合は、敬称を付ける
「そちら」は便利な言葉ですが、自分が名前を知っている人・物に対して使う場合は、必ず敬称を付けて丁寧な表現を心がけましょう。
例文)
NG)そちらの資料について、ご確認いただけますでしょうか。
OK)先日お送りいただいた、御社の報告書について、ご確認いただけますでしょうか。
【例文・社内での会話】
会議の日程は、そちら様のご都合の良い日をお選びください。
そちら様?…上司なんだけどな。
上記の例文では、「そちら様」→上司の名前に「さん」をつけるor管理職名にしましょう。
「そちら」よりも「御社」や相手の名前に「さん」「様」をつける方がより丁寧な表現になります。相手との距離感によって使い分けをしましょう。
具体的な内容を説明する
「そちら」は、様々な意味を持つ曖昧な言葉です。そのため、具体的な内容を説明せずに「そちら」を使うと、相手が何を指しているのか理解できずに、誤解を招いてしまうことがあります。
例文)
NG)そちらの件について、ご検討いただけましたでしょうか。
OK)先週ご提案いたしました企画について、ご検討いただけましたでしょうか。
「そちら」は、具体的な内容を説明することで、誤解を招くことなく、相手に正確な情報を伝えることができます。具体的な言い換え例です。
【そちらの言い換え例】
「そちらの会社」→「御社」
「そちらの方」→「お名前」「役職名」
「そちらの担当者」→「担当者名」「役職名」
「そちらの日程」→「具体的な日程」
「そちらのご意見」→「お考え」
「そちらの地域」→「地域名」
具体的に伝えた方が相手も理解しやすいですよね♡
【例文・取引先での会話】
そちらの件でお話を伺いたいと思います。まずは、そちらの資料について、いくつか質問があります。
そちらが多くて、わかりにくいな…
この場合は、
「そちらの件」→「〇〇の件」
「そちらの資料」→「〇〇の資料」に言い換えてみましょう。
ビジネスシーンで使える丁寧な言い換え・敬語表現をみていきましょう♡
「そちら」の言い換え・敬語表現
「そちら」は便利な言葉ですが、ビジネスシーンでは状況によってより丁寧な表現に言い換えることが必要です。
【相手への敬意を込めた表現】
・御社(おんしゃ):相手の会社のことで、口頭で使います
・ご担当者様:担当の人
・お名前:名前
・ご意見:相手の意見
・ご提案:相手の提案
・ご要望:相手の要望
【場所など示す】
先方(せんぽう):相手側を指します
こちらから伺います :自分の会社を指します
・そちらのお名前を教えていただけますでしょうか?
言い換えると→ご担当者様お名前を教えていただけますでしょうか?
・こちらから伺いますので、到着までお待ちくださいませ。
言い換えると→弊社から伺いますので、到着までお待ちくださいませ。
以下のまとめは、「そちら」を敬語表現にする2つの方法についてまとめてみました。上記の注意点も参考にしてみてください。
まとめ
「そちら」を敬語表現にする2つの方法についてまとめてみました。
1. 「そちら様」を使う
「そちら」に「様」を付けることで、丁寧な表現になります。
2. より具体的な言葉や、より丁寧な表現に置き換える
「そちら」をより具体的な言葉や、より丁寧な表現に言い換えることで、より明確で丁寧な印象になります。
NG)そちらの資料について、質問があります。
OK)昨日メールでいただいた資料について、質問があります。
OK)以下の資料について、質問があります。
(具体的にすると〇〇の資料)
「そちら」を敬語表現にするには「様」を付けるか、より具体的な言葉に置き換えることです。状況に応じて適切な表現を選ぶようにしましょう。