ビジネスシーンや面接で「聞く」の敬語表現に迷ったことはありませんか?「お名前をお聞きしてもよろしいですか?」や「弊社の〇〇からお聞きしています」は正しい使い方だったか不安…そんなあなたへ、尊敬語・謙譲語・丁寧語の使い分けを例文とあわせてわかりやすく解説します。
「聞く」の敬語表現…「お聞きする」きちんと使い分けできていないかも。
「聞く」の敬語表現、尊敬語・謙譲語・丁寧語の使い分け一緒にみていきましょう♡
ビジネスシーンの「聞く」とは、相手の話に耳を傾け、理解しようと努めることを意味します。これは、円滑なコミュニケーションを築き、良好な関係を構築するために欠かせない要素です。
「聞く」の意味と使い方
「聞く」:相手の話に耳を傾け、理解しようと努めることを意味します。「聞く」の使い方は、おもに以下のような時になります。
・顧客の話を熱心に聞く:顧客のニーズを正確に把握し、適切な提案を行うために大切なことです。
・上司の指示を聞く:指示内容を正確に理解し、迅速かつ確実に実行するために必要なことです。
・相手の話を遮らず最後まで聞く:相手の話を尊重し、信頼関係を築くためにも必要です。
敬語は3種類あります。尊敬語、謙譲語、丁寧語です。順番にみていきましょう♡
「聞く」の尊敬語「お聞きになる」「聞かれる」
「聞く」の尊敬語には、「お聞きになる」と「聞かれる」の2つがあります。尊敬語は相手の動作・行動を高める表現です。相手の動作に対して使います。
「お聞きになる」
意味:相手が目上の人に対して、丁寧かつ敬意を払って「聞く」ことを表します。
使い方:目上の人が話を聞く場面で使います。
「お〜なる」で尊敬語の表現になります。「お聞きになる」
・次の異動発表についてお聞きになりましたか。
「聞かれる」
意味:目上の人から話を聞くことを表す丁寧な表現です。
使い方:目上の人が話を聞く場面で使います。
「聞かれる」の「れる」「られる」は、受け身と間違えられやすいので「お聞きになる」をおすすめします。
・遅刻をして注意された。
・大切な書類を見られてしまった。
・次の異動について、聞かれましたか。
受け身の例文はほかの動詞でもあげています。
「聞く」の謙譲語
「聞く」の謙譲語についてみていきましょう。謙譲語とは、目上の人に対して自分の行動をへりくだって表現にする時に使う言葉です。自分の行為に謙譲語を使いましょう。
「お聞きする」
意味:「お聞きする」は、「聞く」の謙譲語であり、自分自身が相手から話を聞くことをへりくだって言う表現です。
使い方:「お〜する」で謙譲語の表現になります。「お聞きする」
・お名前をお聞きしてもよろしいですか。
・先輩にお聞きしたいことがありますが、よろしいでしょうか。
・もう一度お聞きするかもしれませんが、よろしくお願いいたします。
次の会話の「お聞きする」は正しい使い方かな?
【社外の人との会話】
先日、修正依頼をした件ですが、田中様から聞かれていますか?
はい。弊社の田中からお聞きしています。
この時の「お聞きしています」って正しい使い方だっけ?…
上の会話をみてみましょう。お客様が立てられる人です。「弊社の〇〇」に謙譲表現で敬意を表しているため不適切です。お客様に敬意を払うべきであり、お客様に対して失礼な印象を与えてしまう可能性があります。
適切に言い換えると、
「弊社の〇〇から聞いております」
「弊社の〇〇から聞いています」になります。
「伺う(うかがう)」
「伺う」:「相手に何かを尋ねたり、聞く、訪問したりする」という意味の謙譲語です。
「お聞きする」と「伺う」は「聞く」の謙譲語のため、どちらを使っても正解です。
・おうわさはかねがね伺っております。
・詳細を伺うことは可能でしょうか。
次の会話の「伺う」は正しい使い方かな?みてみましょう♡
【取引先から質問を受けた時】
入館手続きはどうしたらいいですか?
受付へ伺ってください。
この時の「伺ってください」って正しい使い方だっけ?…
上の会話をみてみましょう。お客様は立てられる人のため、お客様の行為に謙譲語「伺う」は不適切です。正しくは、「受付へお聞きください」です。
「拝聴(はいちょう)する」「拝聞(はいぶん)する」
「拝聴する」とは、聴くことの意の謙譲語
「拝聞する」とは、聞くことの意の謙譲語→「拝聴する」を使うのが一般的です。
「拝」の意味が敬意をもって見る。相手に敬意をもって聞くことを表します。取引先や目上の人、敬意を払う人の話を、聞く時に使います。
・先輩のピアノのコンサートを拝聴する。
・先輩のお話を拝聞できますことを大変楽しみにしております。
次の会話の「拝聴する」は正しい使い方かな?
【社内での会話】
社長の講演を拝聴されましたか?
拝聴されましたか?
上の会話をみてみましょう。上司は立てられる人です。上司に対して謙譲語を使っているため不適切です。正しくは、「社長の講演は聞かれましたか」「社長の講演はお聞きになりましたか」です。
「聞く」の丁寧語は「聞きます」
使い方:「説明を聞きます」「意見を聞きます」のように丁寧語表現を用いることで、相手に敬意を表すことができます。親しい人に対しても丁寧な表現として使います。
・昨日の会議の話について聞きました。
・その見積書についての話はすでに、聞いています。
「聞く」の敬語表現…「お〜する」の使い方・謙譲表現、難しいです。
「お〜する」の使い方みてみましょう♡
「お」がつくのに、なぜ謙譲表現なのでしょうか?
「お〜する」「お」がつくのに、なぜ尊敬語ではなく、謙譲語になるのかについて例文を抜粋し、まとめてみました。(文化庁、第四話「間違いやすい敬語(1))より
1「先生の話をお聞きします」○2「先生をお待ちします」○
3「私はお料理が得意です」○
4「私がご説明をしたいと思います」○
5「私のお考えを発表します」❌
文化庁、第四話「間違いやすい敬語(1)~尊敬語 VS 謙譲語I」理解度チェック抜粋:
https://www.bunka.go.jp/seisaku/kokugo_nihongo/kokugo_shisaku/keigo/chapter4/detail.html
1・2・4は行為の向かう先(説明される人など)を立てる謙譲語で,適切な使い方です。
3は謙譲語ではありませんが、美化語として正しいため○にしています。「お」をつけることで美化語です。
5は「私のお考え」は「考え」の向かう先がなく尊敬語で,「私」を立てることになり,適切ではありません。
美化語とは、上品で美しい言葉遣いをするために使う表現のことです。「お」「ご」をつけます。お米・ご飯・お箸という使い方です。
まとめ
「聞く」の敬語表現は、相手や状況によって使い分けるのがポイントです。尊敬語は、相手を敬う気持ちを伝える表現。謙譲語: 自分の立場を低くして相手を立てる表現。「伺う」「拝聴する」など。丁寧語は、基本的な丁寧表現。目上の人や目下の人、どんな相手にも使える万能表現です。参考にしてもらえたら幸いです。