「わかりました」は、日常会話では自然な言葉ですが、ビジネスシーンでは少しカジュアルな印象になります。特に、上司や取引先など、目上の方に伝える場合は、より丁寧な表現を選ぶことが大切です。この記事では、「わかりました」をどのように言い換えれば良いのか、さまざまなシーンに合わせた適切な言葉遣いを例文とともに解説します。
なぜ「わかりました」では、だめなの?
「わかりました」は、日常会話で親しみやすい言葉ですが、ビジネスシーンや目上の方に対して使う場合は、より丁寧な言葉を選ぶことが大切です。「わかりました」は一般的な丁寧語であり、相手への敬意を十分に表しているとは言えないためです。
ビジネスシーンでは敬意が足りないということです。
「わかりました」の意味と使い方
理解、承知、納得を表明する時に使います。相手に対して、「理解しました」と伝える時の敬語表現です。ビジネスシーンなどでは、より丁寧な表現を使うことが求められる場面もあります。意味合いは以下です。
理解した:相手の言っていることが理解できたことを表します。
承知した: 相手の依頼や指示を聞き入れ、実行することを了承したことを表します。
納得した:相手の意見や考え方に納得したことを表します。
以下の例文は親しい間柄という前提です。
上司:「ちょっと急なんだけど、この資料明日までにまとめといてくれる?」
部下:「わかりました。まとめておきます。」
【社内での会話】
来週の会議資料、作成お願いね。
わかりました。木曜日までに仕上げます。
「わかりました」の代わりに使える丁寧な言葉
「わかりました」の代わりに使える、より丁寧な言葉は、以下です。
承知いたしました:相手の依頼や指示を理解し、それに従うことを明確に伝える時に使います。
かしこまりました: 相手の言葉に対して、深く理解し、その意図を尊重することを表す時に使います。
承りました: 相手の依頼や指示を引き受け、責任を持って実行することを表す時に使います。
「承知いたしました」
「「承知いたしました」は「承知しました」の謙譲表現です。より丁寧な言い回しであって、二重敬語ではありません。事情がわかっていること。依頼や要求を聞き入れることです。「承知」に「いたす」が付くため謙譲の敬語表現になります。
【社内での会話】
契約書を早めに確認したいから、今日中に提出してくれるかな?
承知いたしました。本日中に必ず提出いたします。
「承知いたしました」のあとに、自分の行動を伝えるといいですね。引き受けたことが強調され、責任感も感じられます。
「かしこまりました」
「かしこまりました」は「かしこまる」の丁寧語です。身分の高い人、目上の人の前で、敬う気持ちを表して謹んだ(つつしんだ)態度をとる意味のため「承知いたしました」より丁寧な言い回しです。
「かしこまりました」には相手への厳格な敬意が含まれます。「承知いたしました」には、単に相手の指示を理解し引き受ける意味です。使う対象に気をつけましょう。
【社外での会話】
この件について詳しく知りたいので、資料出していただけませんか?
かしこまりました。今すぐお持ちいたします。
お客様に対しては「かしこまりました」が適切です。
「了解いたしました」
「了解いたしました」は「了解しました」の謙譲表現です。「了解」+「いたしました」は、「了解」に「いたす」が付くため謙譲表現になります。
「了解いたしました」は、正しい敬語表現ですが、了解を誤って使っているように思われるため、控えた方が良いです。
「了解いたしました」は謙譲表現のため、目上の人に対して適切な言い回しですが、「了解しました」は親しい人に対して使うため、誤って使われているように思われます。「承知いたしました」を使いましょう。
【社内での会話】
明日の会議は、夕方より実施するため時間調整しておいてください。
明日の会議について了解しました。
了解?
なぜ?適切ではないのか考えてみましょう。
親しい人につかう「了解しています」を使っているためです。
【言い換えてみましょう】
・明日の会議について承知いたしました。ほかに気をつけることがありましたら、おっしゃってください
・明日の会議についてかしこまりました。ほかに気をつけることがありましたら、おっしゃってください
「承知いたしました」「かしこまりました」を使う時の注意点
「承知いたしました」「かしこまりました」とだけ伝えるのではなく、次にどのような行動を取るのかを具体的に伝えることで、相手は安心して任せられます。相手に明確に伝わりやすくなります。
・かしこまりました。今日中に返信いたします。
・承知いたしました。明日の午前までに、〇〇部長に提出いたします。
【社外の人との会話】
希望日は、11月1日です。いかがでしょうか?
ご希望の日にちは11月1日とのこと、かしこまりました。再度調整の上ご連絡させていただきます。
おうむ返しをすることで、相手の意見を承認します。
まとめ
ビジネスシーンで「承知」と「了解」どちらを使うか迷った時は、「承知」を選ぶとより丁寧な印象になります。「わかりました」はカジュアルな表現なので、目上の人や取引先など、敬意を払うべき相手には「承知」を使いましょう。