「とんでもございません」は、謙遜の言葉としてよく使われますが、実は文法的には誤りと言われています。しかし、近年ではビジネスシーンでも普通に使われ、問題ない場合も増えています。そこで今回は、「とんでもございません」の正しい使い方と、より丁寧な言い換え表現、例文を紹介しています。ビジネスシーンで使える表現を身につけていきましょう。
「とんでもございません」の意味と使い方
「とんでもございません」は、主に以下の2つの意味で使われます。
・相手の言葉を強く否定する場合
・思いがけないことや、とんでもないことを表す場合
「とんでもございません」は、文法的には誤りですが、以下のような場合に適切な表現として使えます。
おもに以下の時に使います。
・丁寧な返答をする時
・感謝の言葉をいただいた時
・相手からの褒め言葉に対して謙遜する時
【社内での会話】
先日提出してくれた提案は素晴らしいですね。
とんでもないことです。まだまだ改善点も多くございますので、精進いたします。
「とんでもございません」ではなく、「とんでもないことです」を使い、適切ですね♡
「とんでもございません」が誤用である理由
「とんでもございません」「とんでもありません」「とんでもないです」は、目上の人から褒められたり感謝されたりした際に謙遜の表現としてよく使われますが、誤用になります。
「とんでもない」は形容詞で「とんでもない」でひとつの言葉です。
「ない」の反対の「ある」とはいいません。そのため「とんでもない」に「ありません」をつけることは誤用です。
しかし、文化庁は「形容詞+です」を平易な敬語表現として認め、現在では「とんでもございません」も誤用ではないとしています。
「とんでもございません」は文法的には誤りですが、近年ではビジネスシーンでも普通に使われ、問題ない場合も増えています。状況に合わせ、適切な表現を使い分けることが大切です。
相手との関係性によって使うか、どうか考えてしまいますよね。
「とんでもございません」を正しく敬語に言い換える
「とんでもございません」を正しく敬語に言い換えてみましょう。
「とんでもないことです」
正しい使い方は「とんでもないことです」ですが、「とんでもございません」が正しい使い方だと思っている方に使うと、「とんでもないことです」誤用に見受けられるようです。
目上の人から「企画書とても素晴らしかったですね。」と言われた場合:
とんでもないことです。まだまだ勉強不足です。
相手との関係性によって判断しましょう。
「とんでもないことでございます」
正しい使い方は「とんでもないことです」と同様に「とんでもないことでございます」ですが、こちらも、「とんでもございません」が正しい使い方だと思っている方に使うと、「とんでもないことでございます」誤用に見受けられるようです。
相手からの褒め言葉に対して、謙遜する場合に使う時:
お褒めの言葉、ありがとうございます。とんでもないことでございます。
【社内での会話】
昨日、作ってくれた資料、とてもわかりやすくて良かったよ!
とんでもないことです。次も頑張ります!
「とんでもございません」の言い換え、類語
「とんでもございません」の言い換え例とその特徴をまとめました。状況や相手に合わせた表現を選んでみてください。
【謙遜よりの言い回し】
・恐縮です(きょうしゅくです)
・恐れ入ります
・もったいないお言葉です
・光栄です
【敬意よりの言い回し】
・ありがたいお言葉です
・お褒めの言葉をいただきうれしいです
・とてもうれしく思います
「恐縮です」「恐れ入ります」
「恐」は、おそれる「縮」は、身がすくむことを意味し「恐怖で身がすくむ」という意味でしたが、現代では「ありがたさで身がすくむ」思いがすることも意味しているそうです。
【社外での会話】
先日は、メールを送ってくださりどうもありがとうございます。大変わかりやすくて、解決できました。
お褒めの言葉をいただき、恐縮です。またお役に立てることがございましたら、おっしゃってください。
「お褒めの言葉をいただき」と感謝しつつ、「恐縮です」謙遜表現も使えていいですね♡
恐縮について、よろしければご参照ください。
「もったいないお言葉です」「光栄です」
高い評価や、労い(ねぎらい)の言葉をいただいた時に使います。
【社内での会話】
先月は、本当によく頑張ったね。みんな褒めていたよ。
私にはもったいないお言葉ですが、大変光栄です。これからもよい結果が出せるよう、精進いたします。
「光栄です」は上司や目上の人から評価された時に使いましょう!
「ありがたいお言葉です」「とても嬉しく思います」
「ありがたい」とは、またとないくらい尊い、もったいないという意味です。敬意よりの言い回しになります。
【社内での会話】
昨日、作ってくれた資料、とてもわかりやすくて良かったよ!
ありがたいお言葉をいただきまして、今後の励みになります。
「今後の励みになります」とは「継続して頑張ります」という意味があります。今後の期待値をみてもらうためにも、使ってみましょう♡
まとめ
返答に迷った場合は、まずは相手に感謝の気持ちを伝えることを心がけましょう。褒められたことを素直に喜び、感謝の気持ちと敬意を伝えることが大切です。