ビジネスシーンでよく耳にする「お名前を頂戴できますか」。実は、この表現は誤りと言われています。「お名前」は「もらう」ものではありません。では、目上の人にも失礼なく、正しくお名前を尋ねるにはどうすれば良いのでしょうか?この記事では、「お名前を頂戴できますか」の言い換え表現と、具体的な例文をご紹介します。
「お名前を頂戴できますか」の意味
「お名前を頂戴できますか」は「お名前を教えていただけますか」という意味で使われますが、「お名前を頂戴できますか」の使い方は誤りです。
「お名前を頂戴できますか」の意味やつくりをみてみましょう。
1. お+名前 →丁寧語のため相手に使用 ○
2. 頂戴する→「もらう」の謙譲語のため自分に使用 ○
1と2は正しい使い方です。続けてみていきましょう。
「お名前を頂戴できますか」文法上は、正しいのですね。
なぜ、「お名前を頂戴できますか」が正しくないのか、みていきましょう♡
「お名前を頂戴できますか」なぜ間違いなのか
「お名前を頂戴できますか」が、なぜ間違った使い方かみていきましょう。
「お名前を頂戴できますか」の「頂戴できますか」(謙譲表現)を丁寧な敬語表現に直してみると。「お名前をもらえませんか」になります。
間違った使い方の理由は、お名前をもらうという意味になるからです。お名前はもらうのではなく、名前を聞くことです。
名前は「もらえない」から、だめなのですね♡ 正しい使い方をみていきましょう。
「教えていただけますか」に言い換え・例文
「頂戴できますか」の部分を「教えていただけますか」に言い換えてみましょう。
「教える」+「いただく」(謙譲語)に直します。
・教えていただけますか?(教えるの謙譲語)
例文:
お名前を教えていただけますか?(教えるの謙譲語)
「うかがってもよろしいですか」に言い換え・例文
「頂戴できますか」の部分を「うかがってもよろしいですか」に言い換えてみましょう。
謙譲語の「うかがう」を使います。
・うかがってもよろしいですか?(うかがうの謙譲語)
例文:
お名前をうかがってもよろしいですか?(うかがうの謙譲語)
「お聞かせいただけますか」「お聞かせ願えますか」に言い換え・例文
「頂戴できますか」を「お聞かせいただけますか」「お聞かせ願えますか」に言い換えてみましょう
「お聞かせいただけますか」「お聞かせ願えますか」
→丁寧な敬語表現のため、目上の人や取引先の人に対して適切な使い方です。
例文:
・お名前をお聞かせいただけますか。
・お名前をお聞かせ願えますか。
なるほど♡「教える・うかがう・聞く」を言い換えて敬語表現にすればいいのですね!
「お名刺を頂戴できますか」は正しい使い方?
名刺はもらうことができるため「お名刺を頂戴できますか」は適切な使い方です。
名前はもらうことができません。混同しないようにビジネスシーンでは気をつけましょう。
【社外での会話】
恐れ入りますが、お名刺を頂戴できますか。
失礼いたしました。こちらです。
「恐れ入ります」クッション言葉もうまく使えていますね♡
「恐れ入りますが、お名前を教えていただけますか」クッション言葉を使う
クッション言葉とは、「お願い」や「お断り」などをするときに使い、全体を柔らかい印象にしてくれる言葉です。言いにくいことをストレートに伝えてしまうと、相手は受け入れられなかったり、ショックを受けてしまいます。クッション言葉を使うことで相手に嫌な思いをさせずに用件を伝えることができます。
【社外での会話】
恐れ入りますが、お名前をお聞かせ願えますか。
はい、私はA社の田中と申します。
いきなり、「お名前をお聞かせ願えますか」よりも「恐れ入りますが」を加えることで相手を気遣えますよね。
【クッション言葉の種類】
・恐縮ですが
・恐れ入りますが
・大変恐縮ですが
・お手数おかけしますが
・申し訳ございませんが
クッション言葉を使うことで、丁寧な依頼ができますね!クッション言葉の使い方についてよろしければご覧ください♡
まとめ
丁寧な言葉遣いですが、お名前は「物」ではないため、もらうことができないと考えるとわかりやすいです。お名前をうかがう時とは初対面で使うことが多いため、クッション言葉を使うようにして、相手を気遣う丁寧な敬語表現や言葉を心がけましょう。