「存じ上げない」はビジネスシーンでよく使われる丁寧な表現ですが、「誰に対して使うのか」「どんな状況で使うのか」など、意外と知らないルールがたくさんあります。例えば、「この資料について、何かご存じですか?」という質問に対して「存じ上げない(存じ上げません)」と答えてしまうと、誤りになります。この記事では、「存じ上げない」の使い方や言い換えについて解説します。敬語の使い方が難しいと思われる方は、ぜひ参考にしてください。
「存じ上げない」の意味と敬語
「存じ上げない」は、相手に対して敬意を払いながら、「知らない」「分からない」ことを伝える謙譲語です。特に、人物に関する質問を受けた際に、その人物のことを知らないことを示すために用いられます。
・「存じ上げません」は丁寧な使い方:目上の人、上司、取引先などに対して、より丁寧な表現として「存じ上げません」を使います。
・人物に関することを質問された場合に使用する言葉で、メールや口頭でも使います。
「存じ上げない」は、使い方のルールがあるのでマスターしましょう♡
「存じ上げない」の尊敬語
「存じ上げない」の尊敬語は、「ご存じない」です。
「ご存じ」:「ご」が尊敬語になります。
例文:先輩。その資料についてご存じないでしょうか。
「ご存知ないのですか」「ご存知かもしれませんが」「ご存知でしょうか」「ご存知の通り」なども、尊敬語のため、目上、上司、取引先に対して使用できます。
「存じ上げない」の使い方と例文
「存じ上げない」は、相手に対して「知らない」「聞いたことがない」という謙譲語です。主に、人物に関することを質問された際に使います。いくつか注意点があります。
人に対して使う:「存じ上げる」は、主に人に対して使う言葉です。物事や場所に対しては、「存じません」や「わかりかねます」など、別の表現を使います。
例文:「〇〇さんとは以前からお知り合いなのですか?」
→「いいえ、残念ながら〇〇さんとは存じ上げません。」
「申し訳ございませんが、存じ上げておりません」など、丁寧な言葉で補足するとより丁寧な印象になります。ほかには、「あいにく」「失礼ながら」も同様です。
例文:「〇〇さんのことは、申し訳ありませんが存じ上げません。」
誤って使いそうな例文を、もう少しみていきましょう♡
・会議室はどこにありますか?
→❌ 会議室は、申し訳ございませんが存じ上げません。
→⭕️ 会議室は、申し訳ございませんが存じません。
例文:〇〇さんを知っていますか?
→⭕️ 〇〇さんについては、お名前は存じ上げておりますが、ご経歴などは詳しいことは分かりかねます。
例文:この資料について、何かご存じですか?
→❌ 存じ上げません。
→⭕️ この資料については、まだ詳しく拝見しておりませんので、わかりかねます。
「存じ上げない」ビジネスシーン使える丁寧な言い換え4選
「存じ上げない」の別の言い回しをいくつかご紹介します。それぞれの表現の使い方や注意点も併せて解説しますので、ぜひビジネスシーンで活用してください。
「面識がございません」
意味:ある人と一度も会ったことがなく、個人的な付き合いがないことを意味します。つまり、相手のことをよく知らない、という状態のことです。
例文:先輩とは、同じ大学だったのですが、残念ながら面識がございません。
「わかりかねます」
意味:相手に何かを尋ねられた際、「正確なことが分からない」「判断できない」といった状況を丁寧に伝える表現です。
例文:その件については、現時点では詳細が不明なため、わかりかねます。
「恐れ入りますが、〇〇についてお教えいただけますでしょうか」
意味:相手に何かを尋ねたい際に、丁寧な表現として用いられます。「〇〇について教えていただけるとありがたいのですが、申し訳ございませんが、よろしいでしょうか」といったニュアンスになります。
例文:恐れ入りますが、この資料の作成方法についてお教えいただけますでしょうか。
「あいにく、私の方では把握しておりません」
意味:相手に求められた情報や状況について、自分が詳しく知らないこと、または情報を持っていないことを丁寧な言葉で伝える際に使います。
例文:在庫状況は、あいにく私の方では把握しておりません。申し訳ございませんが、少々お待ちいただけますでしょうか。
まとめ
「存じ上げない」は、丁寧な表現であるため、どんな場面でも使えると思ってしまう人が多いです。しかし、状況や相手によって適切な言い方が異なります。特に、ビジネスシーンでは、より丁寧で適切な表現を選ぶことが求められます。この記事で紹介した内容を参考に、「存じ上げない」を正しく使っていきましょう。