「新年のご挨拶に代えさせていただく」とは？意味と使い方を解説

会社やあらたまった席で、ご挨拶の終わりに「新年のご挨拶に代えさせていただきます」という言葉を耳にしたことがある方もいるかもしれません。新年のご挨拶なのに「代えさせていただく」という表現に、疑問に思ったことはありませんか？この記事では、「新年のご挨拶に代えさせていただきます」の意味、使い方、例文、そして類似表現との使い分けについて、詳しく解説します。

「新年のご挨拶に代えさせていただきます」の意味と敬語

「新年のご挨拶に代えさせていただきます」は、「代える」という言葉を使うことで、本来行うべき行為（正式な挨拶）を別の行為（略式な挨拶）で代替することを丁寧に示した表現です。

「させていただく」は、「させてもらう」の謙譲語で、相手への敬意を表す敬語表現です。一般的に、「させていただく」は、相手の許可や恩恵を受けて行う行為に用いられます。

実際には、正式な新年の挨拶を省略し、簡略化した挨拶で済ませることを意味します。しかし、単に省略するだけでなく、以下のようなニュアンスを含んでいます。

「新年のご挨拶に代えさせていただきます」の意味合い

例えば、目上の人に対して、自分が長々と新年の挨拶を述べるのは恐縮である、という気持ちを表したり、時間や状況が許さない中で、簡潔に挨拶を済ませたいという意図を伝える際に用いられます。

1）自分の立場や役割を考慮し、自分が大々的に新年の挨拶を述べるのは相応しくないと考える謙虚な気持ちを表します。「本来ならばもっときちんとご挨拶すべきところを、略式で失礼いたします」という意が含まれています。

2）正式な場ではない、または、時間や状況などの都合で、形式ばった挨拶を避けたい場合に用います。「手短にご挨拶させていただきます」という意が含まれています。

「新年のご挨拶に代えさせていただきます」は、略式の挨拶です。例えば、重要な取引先への年始の挨拶や、改まった式典などでは使用すべきではありません。

「新年のご挨拶に代えさせていただきます」の使い方と例文

「新年のご挨拶に代えさせていただきます」は、本来であればより丁寧に行うべき新年の挨拶を、簡略化する場合に用いる表現です。相手への配慮を示しつつ、状況に合わせて適切に挨拶をしましょう。

会議や朝礼の挨拶時に役職の高い人ではない人が、冒頭で簡単に挨拶を求められた時。

例文：皆様、あけましておめでとうございます。僭越（せんえつ）ながら、新年のご挨拶に代えさせていただきます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。

大勢の人がいる場で、自分が目立って挨拶をすることを控えたい時

例文：皆様、あけましておめでとうございます。新年のご挨拶に代えさせていただきます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。

本来ならば年賀状などで丁寧に挨拶すべきところを、メールで済ませる場合

例文：

・メールでのご挨拶で失礼いたします。新年のご挨拶に代えさせていただきます。皆様のご健勝をお祈り申し上げます。

・本来であれば書面にてご挨拶申し上げるべきところ、略儀ながらメールにて失礼いたします。

「新年のご挨拶に代えさせていただきます」の言い換え

「新年のご挨拶に代えさせていただきます」は、

・目上の人に対して、自分が長々と新年の挨拶を述べるのは恐縮の気持ちを表したり、

・時間や状況が許さない中で、簡潔に挨拶を済ませたいという意図を伝える際に用いられます。

これらの条件で言い換えをしましょう。

新年のご挨拶とさせていただきます

→比較的汎用性が高く、ビジネスシーンや目上の方に対しても使用できます。

新年のご挨拶を申し上げます

→謙譲語を使い、丁寧な挨拶の言葉として広く使われます。メールなど書面での挨拶に適しています。

新年のご挨拶といたします

→「新年のご挨拶といたします」は、新年の喜びと感謝の気持ちを丁寧に伝えるための表現です。

本来であれば直接ご挨拶に伺うべきところ、書面にて失礼いたします

→直接訪問できないことを丁寧に詫びる表現です。手紙や改まったメールなどで使用すると、より誠意が伝わります。

まとめ

「新年のご挨拶に代えさせていただきます」は、謙遜の美徳を表す表現ですが、状況に応じて、より簡潔でわかりやすい表現に言い換えることも可能です。大切なのは、相手に失礼のないように、丁寧な言葉遣いを心がけることです。