「います」と「おります」、どちらも「いる」を丁寧に言う言葉ですが、ビジネスシーンではどちらを使うべきか迷うことがありますよね。実は、「おります」の方がより丁寧な表現とされ、多く使われています。それはなぜでしょうか?理由としては、主語が自分自身である場合、「おります」を使うことで、自身をへりくだり相手に敬意を示せるためです。この記事では「います」「おります」の意味や使い分けを解説し、ビジネスシーンでの適切な言葉遣いを紹介します。
「います」「おります」の違いについて
「います」「おります」の違いについて、詳しく解説します。
意味 | 言葉の種類 | 使う時 | |
「います」 | 「居る」という存在を表しています。 | 丁寧に表現したい時の丁寧語 | 同等・目下の人に使う |
「おります」 | 「居る」という存在を表しています。 | 自分をへりくだる時に使う謙譲語 | ビジネス・目上の人に使う |
「いる」の丁寧語は「います」です。ビジネスシーンでは、相手に敬意を示すために、謙譲語の「おります」を使うのが一般的です。
例えば、
・お客様に対して、「おります」を使うことで、丁寧で誠実な印象になります。
・上司に対して、「おります」を使うことで、謙虚な姿勢を示すことができ、好感が上がりますね。
謙譲語とは、自分がへりくだる表現で、自分を下(した)にすることで、相手を立てます。
「います」「おります」の使い分けは、どうしたらいいのですか?
シチュエーションや話す相手によって使い分けをしましょう。一緒にみていきましょう♡
「います」「おります」の使い方
「います」「おります」の適切な使い方をみていきましょう。
相手が誰なのか?と考えると理解しやすいです♡ 2問の例題を一緒にみていきましょう!
例題1【社内での会話】「〇〇さんはいますか?」と聞かれた時。
佐藤さんは、今日いますか?
先輩
はい。佐藤は、本日おります。
適切に使えていますね。
「〇〇さんはいますか?」と聞かれた時
・自分と同等の立場や目下の人から聞かれたら「います」と答えます。
・自分より目上の人から聞かれたら「おります」と答えます。
例題2【社外の人との会話】
ご無沙汰しております。先日は、体調が悪くご迷惑をおかけしました。
ご無沙汰しております。体調が回復されたようで何よりです。お元気なお顔が拝見できてうれしく思います。
シチュエーションにもよりますが、社外の人や目上の人に対しては「おります」を使いましょう。
久しぶりに会った時の挨拶
・自分と同等の立場や目下の人から聞かれたら「ご無沙汰しています」と答えます。
・自分より目上の人から聞かれたら「ご無沙汰しております」と答えます。
「います」「おります」の例文
「います」「おります」の例文をみてみましょう。
「います」
・元気に暮らしています。
・今、資料を読んでいます。
・電車を使って通勤をしています。
「おります」
・ご迷惑をおかけし、恐縮しております。
・またのご利用を心からお待ちしております。
・〇〇はただいま、席をはずしております。
ビジネスシーンでは、「おります」の方がより丁寧な表現となります。理由は以下の通りです。
・「おります」は「いる」の謙譲語であり、自分より目上の人に対してへりくだった態度を表すことができます。
・「います」は丁寧語ではあるものの、謙譲語としての意味合いは含まれません。
ビジネスシーンでは、相手に対して敬意を示すことが重要です。そのため、「おります」を使って、へりくだった態度を示すことが望ましいのです。
「へりくだる」を漢字で書くと「謙る」です。意味は「相手を敬って自分を控えめにする」ことです。
「おりますか」使い方の注意点
「〇〇さんおりますか?」の使い方についてです。間違えて使われていることが多いので、使い方には気をつけましょう。
【取引先の人との会話】
弊社(へいしゃ)の山田はそちらにおりますか?
はい、山田さんはいらっしゃいます。
この使い方は正しいです♡
正しい理由:「おります」は、自分、自分の身内をへりくだって伝える時に使うからです。
【取引先の人との会話】
御社の田中部長はそちらにおりますか?
大変申し訳ありませんが、田中はただいま別の電話に出ております。後ほど、こちらからあらためます。
これは間違えた使い方です。2人の会話で、どこが誤りでしょうか?
誤りの理由:取引先の人が言う「御社の田中部長はそちらにおりますか」の使い方が誤りです。
「おります」は自分、自分の身内をへりくだる表現のため、相手に使うことは大変失礼にあたります。正しくは「御社の田中部長はそちらにいらっしゃいますか」です。
「います」「おります」の尊敬語
「います」「おります」の尊敬語についてみてみましょう。「います」「おります」の尊敬語とは「いらっしゃる」「おいでになる」です。
・本日は何時にいらっしゃいますか。
・失礼ですが、〇〇様でいらっしゃいますか。
・本日の会合には、おいでになりますか。
・本日の10時に当社へおいでになるそうです。
「います」「おります」の尊敬語は「いらっしゃる」「おいでになる」です。尊敬語は相手の動作に対して使います。
まとめ
「います」と「おります」は、丁寧さのレベルが違います。「おります」は目上の人やお客様に対して使うとより丁寧です。言葉を選ぶ際は、相手との関係性を考えて使い分けましょう。「おります」 は、丁寧な表現ですが、使い慣れないと誤って使うこともありますので、注意が必要です。「おります」が使い慣れない時には、丁寧語の「います」を使い、丁寧な言葉遣いをしてみると良いですよね。