「お願い申し上げます」はビジネスシーンでよく使われる丁寧な表現ですが、より柔らかく、相手に配慮した印象を与える表現もあります。この記事では、「お願い申し上げます」と「お願いいたします」の違いを解説し、様々なビジネスシーンで使える言い換え表現を10選ご紹介します。
「お願い申し上げます」の意味と敬語
「お願い申し上げます」は、相手に何かを頼む際によく使われる丁寧な表現です。
【敬語】
「お願い」の「お」は尊敬語です
「申し上げます」の「申す」は「言う」の謙譲語、「ます」は丁寧語になります。
「お願い申し上げます」はとても丁寧な言葉遣いです。「〇〇+お願い申し上げます」というように、ほかの言葉とあわせて使います
「お願い申し上げます」の使い方と例文
「お願い申し上げます」は、相手に何かをお願いしたい時に使う、非常に丁寧な表現です。目上の人や上司、フォーマルな場面でよく使われます。
依頼する場合
・資料の作成をお願い申し上げます。
・この件につきまして、ご検討いただけますようお願い申し上げます。
協力を仰ぐ時
・〇〇の成功のため、皆様のご尽力を賜りますよう、お願い申し上げます。
・今後とも、ご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます。
結びの言葉として
・引き続きどうぞよろしくお願い申し上げます。
・今後とも変わらぬご厚情を賜りますよう、お願い申し上げます。
【使う時のポイント】
・目上の人や取引先の人に対して使いましょう。
・会話中でも使いますが、メールや書き言葉でよく使われます。
年賀状やメールで使われる言葉遣いですね♡
「お願い申し上げます」を使った言葉遣い:より丁寧な使い方
「お願い申し上げます」は、相手に何かを依頼する際に使う非常に丁寧な表現ですが、さらに丁寧な表現や、印象を柔らかくする表現と組み合わせることで、より丁寧な印象になります。
1)〜4)の言葉遣いについてみていきましょう!
「~のほどお願い申し上げます」「~の程お願い申し上げます」
「~のほどお願い申し上げます」はよく使う言葉遣いです。「〜のほど」は断定を避け、やわらかい表現をしたい時に使います。「程」「ほど」どちらを使ってもいいです。
・ご提出いただけましたら、幸いでございます。大変恐縮ですが、お力添えのほどお願い申し上げます。
→手を貸してくださいますようお願いしますという意味です。
・会議の資料をメールでお送りします。ご査収のほどよろしくお願申し上げます。
→資料をご確認してくださいという意味です。
「~くださいますようお願い申し上げます」
「ください」は命令形になります。「くださいますよう」と依頼の丁寧な表現になっています。
資料を添付いたしましたので、ご参照くださいますようお願い申し上げます。
→添付した資料をご参照してくださいという意味です
・契約書を発送させていただきます。ご確認くださいますようお願い申し上げます。
→契約書をご確認くださいという意味です。
「~いただきますようお願い申し上げます」
「くださいますよう」と「いただきますよう」では、謙譲のニュアンスは「いただきますよう」が強いです。
・みなさまからのご協力いただきますようお願い申し上げます。
→ご協力をお願いしますという意味です。
・恐れ入りますが、資料をご参考いただきますようお願い申し上げます。
→→資料をご参考にしてくださいという意味です。
【社内での会話】
みなさまからのご意見を集めたいため、ご協力いただきますようお願い申し上げます。
承知いたしました。
「何卒よろしくお願い申し上げます」
「何卒(なにとぞ)よろしくお願い申し上げます」とは相手にお願いをする気持ちが強い時に使います。「どうか」「ぜひ」という意味になります。メールの結びの言葉として使うこともあります。
「何卒」は強い気持ちを表す言葉です。
・今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。
→これからも、どうかよろしくお願いしますという意味です。
・本件につきまして、ご注意くださいますよう何卒よろしくお願い申し上げます。
→ご注意くださいますよう、どうかお願いしますという意味です。
「お願い申し上げます」は二重敬語?
二重敬語とは、同じ種類の敬語を重ねて使うことです。「お願い申し上げます」について。二重敬語だといわれる方、そうではない方がいます。
二重敬語という考え方:「申す」「上げる」が謙譲語のためという考え方。
二重敬語ではないという考え方:「お、ご~する」のかたちがまとめて謙譲表現なため。
よく使う言葉遣いなのに、二重敬語だとしたら、困ってしまいますね。二重敬語について、よろしければご参照くださいませ♡
「お願い申し上げます」の言い換え
「お願い申し上げます」は丁寧な表現ですが、何度も繰り返すと文章が単調になってしまいます。状況や相手に合わせて、言い換えも使い分けましょう。
【お願い申し上げますを重複している】
お忙しいかと存じますが、ご返事くださいますようお願い申し上げます。
本件につきまして、何卒ご了承いただけますようお願い申し上げます。
【お願い申し上げますを言い換えている例】
本件につきまして、何卒ご了承いただけますようお願い申し上げます。
大変恐縮でございますが、ご連絡お願いいたします。
「お願いいたします」の使い方
「いたします」とは、「する」の謙譲語に「ます」がついた言葉です。意味は「します」「やります」の謙譲表現になります。メールや書き言葉でも使いますが、会話中でよく使われます。
・会議の資料をメールでお送りします。ご査収のほどよろしくお願いいたします。
→資料をチェックして、確認をお願いしますという意味です。
・資料をメールでお送りします。ご確認のほどよろしくお願いいたします。
→資料の確認をお願いしますという意味です。
【補足です】
・「申し上げます」「いたします」このどちらか片方を連続して使うと、聞き手(読み手)にとってしつこい印象を与え、聞きにくさ・読みにくさを感じさせます。
・「いたします」のひらがな表記について。公用文、役所の文書「お、ご〜いたします」で使う時にはひらがな表記と決まっているため(そのためビジネスシーンでもひらがなが好ましいです)
・「申し上げます」と「いたします」はどちらも謙譲語ですが、前者は自分の行為を、後者は相手の行為に対する依頼を表します。一般的に「申し上げます」の方が丁寧な印象になります。
「お願いしたく存じます」「いただきたく存じます」の使い方
「お願いしたく存じます」「いただきたく存じます」とは、取引先や目上の人に対して依頼をする時に使う婉曲(えんきょく)表現です。やわらかく依頼をする時に使います。「〜していただけませんでしょうか」という意味です。
ご多忙中、大変申し訳ありませんが、ご返信は今週中までにお願いしたく存じます。
かしこまりました。早めにご連絡させていただきます。
クッション言葉+「お願いしたく存じます」の使い方いいですね!クッション言葉を加えると相手のことを気遣う気持ちが伝わりますね♡
「いただければ幸いです」の使い方
「幸いです」は、「(相手にしてもらえると)ありがたいです」や「(相手にしてもらえると)嬉しいです」という意味で、相手に依頼する際に用いられる丁寧な表現です。社内外の様々な場面で、柔らかくお願いをしたい時に使います。
・資料を同封させていただきます。ご確認いただければ幸いです。
→確認してもらえたら嬉しいですという意味です。
・先日の調査の件について、ご検討いただければ幸いです。
→ご検討してもらえたら嬉しいですという意味です。
まとめ
相手に依頼する時に「お願い申し上げます」を使います。そのため、相手に丁寧に依頼することが大切です。丁寧に依頼する気持ちを持つことで、相手の対応も変わってきます。重複して使わないためには言い換えの言葉を使ってみましょう。言い換え・クッション言葉を使うことで言葉の使い方の幅も広がりますね。ご参照いただけますと幸いです。