「お聞きになられましたか」…この表現、実は二重敬語かも? ビジネスシーンで頻繁に使われる言葉だからこそ、正しい敬語表現を知っておきたいものです。二重敬語を使うと、丁寧すぎる表現のため、かえって相手に失礼な印象になったり、伝わりにくくなったりすることも。この記事では、二重敬語とは何か、なぜ避けるべきなのか、そして正しい敬語表現をわかりやすく解説します。
敬語を重ねることは、相手に丁寧な印象を与えると思っていたのですが、二重敬語は良くないのですね。
敬意を込めて言葉を選ぶことは大切ですが、二重敬語は言葉が長くなることで、わかりにくくなるのでよく思わない人もいます。
例えば、「ご覧になられますか」という表現は、二重敬語にあたり、「ご覧になりますか」と簡潔に表現した方が、より丁寧で分かりやすいでしょう。
二重敬語とは
文化庁の敬語の指針を抜粋しました。
二重敬語とは、どういうことなのでしょうか?
「二重敬語」とその適否 一つの語について,同じ種類の敬語を二重に使ったものを「二重敬語」という。例えば「お読みになられる」は , ,「読む」を「お読みになる」と尊敬語にした上で,更 に尊敬語の「……れる」を加えたもので,二重敬語である。 「二重敬語」は,一般に適切ではないとされている。
https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/sokai/sokai_6/pdf/keigo_tousin.pdf
二重敬語とは、1つの言葉に同じ種類の敬語を2回重ねて使うことです。よく使われる二重敬語の例で挙げています。
「お伺いする」「お伺いいたします」「お伺いします」「お伺いさせていただきます」「お伺い申し上げます」も二重敬語です。
二重敬語のメリットとデメリットをまとめてみました♡
【二重敬語のメリットとデメリット】
相手への敬意を表すことは重要ですが、二重敬語は状況によっては、かえって失礼に捉えられてしまうことがあります。
日常会話では、二重敬語は一般的に使われており、必ずしも誤りとは言えません。特に、目上の方への依頼や改まった場面では、二重敬語の方が丁寧な印象を与える場合もあります。しかし、場面や相手との関係性によっては、回りくどさや配慮不足を感じさせてしまう可能性もあります。
敬語の種類について、おさらいしましょう。
【尊敬語・謙譲語・丁寧語】
尊敬語 | 相手のことを高めて敬意を表す | おっしゃる、お会いになる、いらっしゃる |
謙譲語 | 自分を低くして敬意を表す | 申す、お目にかかる、おる |
丁寧語 | 丁寧な言葉で敬意を表す | 言います、会います、います |
二重敬語を控えた方が良い理由
二重敬語控えた方が良い理由について。
【二重敬語がNGな理由について】
・まわりくどくなってしまうこと。
・まわりくどくなるので、真意が伝わりにくくなること。
・二重敬語を使うことじたいが配慮に欠けていると見受けられてしまう。
よく使われる二重敬語「尊敬語+尊敬語」と言い換え
よく使われる二重敬語「尊敬語+尊敬語」「謙譲語+謙譲語」や「丁寧語+丁寧語」のパターンについてまとめ、適切な言い換えをあげています。
「お聞きになられましたか」
→「お〜になられる」の敬語表現です。よくあるパターンです。
二重敬語:・本日のミーティングについてお聞きになられましたか。
正しい:本日のミーティングについてお聞きになりましたか。
二重敬語を分解すると
「聞く」の尊敬語+「られる」は尊敬の助動詞のため
少し難しいかもしれませんが、「お聞きになられましたか」は使わないようにしましょう。
「お書きになられる」
→とてもよくあるパターンです。「お〜になられる」の表現です。
二重敬語:メッセージをお書きになられる。
二重敬語を分解すると
「書く」の尊敬語+「られる」は尊敬の助動詞のため。
「お書きになる」で覚えてしまいましょう♡
「お帰りになられました」
「お〜になられる」の表現です。
二重敬語:お客様が、お帰りになられました。
正しいくは:「お客様が、お帰りになりました」 もしくは、「お客様が帰られました」
二重敬語を分解すると
「帰る」の尊敬語+「られる」は尊敬の助動詞だからです。
「お見えになられました」
「お〜になられる」の言い回しです。
二重敬語:田中様がお見えになられました。
正しくは:「田中様がお見えになりました」「田中様がお越しになりました」「田中様がいらっしゃいました」
二重敬語を分解すると→「来る」の尊敬語+「られる」は尊敬の助動詞のため
「ご覧になられました」
→「ご〜になられる」もよくあるパターンです。
二重敬語:田中様がご覧になられました。
正しくは:「田中様が見られました」「田中様がご覧になりました」
二重敬語を分解すると、
「見る」の尊敬語+「られる」は尊敬の助動詞のため。
「おっしゃられるとおり」
→「尊敬語 +〜られる」の言い回しパターンです。
二重敬語:田中様のおっしゃられるとおりです。
正しくは:「田中様のおっしゃるとおりです」
二重敬語を分解すると、
「言う」の尊敬語+「られる」は尊敬の助動詞のため。
「お召し上がりになられましたか」
「尊敬語 + 〜られる」の言い回しです。
二重敬語:昼食は召し上がりになられましたか。
正しくは:「昼食は召し上がりましたか」「昼食はお食べになりましたか」
二重敬語を分解すると、
「食べる」の尊敬語+「られる」は尊敬の助動詞のため(召し上がる・お食べになる)
よく使われる二重敬語「謙譲語+謙譲語」と言い換え
よく使われる二重敬語「謙譲語+謙譲語」のパターンについてまとめ、適切な言い換えをあげてみました。
「伺わせていただきます」
二重敬語:本日の13時にうかがわせていただきます。
正しくは:本日の13時にうかがいます。
二重敬語を分解すると、「行く」の謙譲語は「うかがう」+「~させていただく」謙譲語のためです。
「拝見させていただく」
二重敬語:書類を拝見させていただきました。
正しくは:書類を拝見しました。
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「お伺いいたします」
二重敬語:本日、お伺いいたします。
正しくは:本日、伺います。
「行く」の謙譲語は「うかがう」、「お~する」も謙譲語のためです。
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「ご担当者様」「部長様」
「ご担当者様」「部長様」という言い回しも、二重敬語です。
よく見かけますよね。
二重敬語:ご担当者様
正しくは:担当者様
二重敬語:部長様
正しくは:役職名+名前+様
ご担当者様は一般的に使われている二重敬語です。担当者様だけだと、相手への敬意・丁寧さが欠けるように感じるためのようです。部長(役職名)は敬称であり、敬いが込められているため「役職+様」は二重敬語になります。
二重敬語「〜ますでしょうか」 「丁寧語 + 丁寧語」
「ますでしょうか」は、「丁寧語 + 丁寧語」の使い方ですが、二重敬語ではないという考え方もあります。そのため、「ますでしょうか」の言い換えも一緒にあげています。
「お願いできますでしょうか」は、相手に対して丁寧に依頼をする表現です。
「できます」は丁寧語 「でしょうか」は丁寧語
「お願いできますでしょうか」は二重敬語になります。
【二重敬語ではないという考え方】
「いただく」は「もらう」の謙譲語 「ます」は丁寧語。
「でしょうか」は「だろうか」の丁寧語な表現、「ます」に「だろうか」をつけた言い回しのため、二重敬語ではないという考え方です。
相手との関係性を考えて使うようにしましょう♡
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ふたつの敬語をつなげる言い回し、敬語連結
接続助詞「て」を使って、ふたつの敬語をつなげる言い回しを敬語連結といいます。二重敬語にはならず、丁寧な表現です。文章が長くなり冗長になります。ご参考にしてください。
・お読みになっていらっしゃる。
→尊敬語「お読みになる」+接続助詞「て」+尊敬語「いらっしゃる」
・ご案内してさしあげる。
→謙譲語「ご案内する」+接続助詞「て」+謙譲語「さしあげる」
二重敬語の見分け方
日常会話、ビジネスシーンでで使われている二重敬語もありますが、私が二重敬語で気をつけてきたことをまとめました。よろしければ、チェック項目としてご参考いただければ幸いです。
チェックしていただければと思います♡
1)「お〜になられる」「ご〜になられる」を使わない。
→例えば「おっしゃられる」「ご覧になられる」
2)「〜れる」「〜られる」は使わない。
→受け身・可能のほかの意味になってしまうこともあるからです。
3)尊敬語・謙譲語・丁寧語なのか言葉の意味を考えてみる。
まとめ
二重敬語とは同じ種類の敬語を2回重ねて使うことです。「おっしゃられました」は二重敬語のため適切な使い方ではありません。二重敬語のパターン、二重敬語にならないための注意をするだけで、かなり解消できます。丁寧な言い回しに聞こえるけど、適切な言い回しではないので、気をつけてみましょう。