人に「やめてください」と伝えるのは気をつかうもの。関係をこじらせず、やんわり断る言い方ができたら……と悩んだことはありませんか?この記事では、「やめてほしい」と丁寧に伝える表現を、ビジネスシーン・プライベート・メールなど場面別にご紹介。丁寧で伝わる言い換え表現と例文をわかりやすくご紹介します。

仕事や日常の中で、相手に配慮しながら意思を示す言い回しはとても大切です♡
「やめてください」の意味と敬語
「やめてください」は、相手の行動や言動に対して、それを中止してほしいと伝える直接的な表現です。
「ください」:「ください」は「くれ」を丁寧の丁寧語ですが、「ください」は少し命令調になります。

↑「ください」が命令調に聞こえてしまうことも。状況に応じた使い分けをしましょう♡
【状況に応じた使い分け】
ビジネスシーンで上司やお客様に対して使う場合は、「ご遠慮いただけますでしょうか」や「ご容赦いただけますでしょうか」がより適切です。親しい間柄であれば、「やめてください」でも問題ない場合もありますが、状況によっては「お控えいただけますか」などを使うことで、より丁寧な印象になります。
「やめてください」丁寧な言い換えの基本
ビジネスや目上の人との会話、あるいはメール文面では、ストレートな「やめてください」ではきつく感じられることがあります。ここでは、「やめてください」の丁寧な言い換え表現を、敬語や言葉遣いのポイントを交えてご紹介します。
基本:丁寧語、謙譲語、尊敬語の活用
「やめてください」を丁寧な表現に言い換える際には、丁寧語、謙譲語、尊敬語を適切に用いることが重要です。
- ~いただけると幸いです:相手に何かをしてもらうことへの希望を、控えめに伝える謙譲表現です。
- ~いただけますでしょうか:相手に何かをしてもらうことを、丁寧に依頼する表現です。
- ~していただけますか:「~いただけますでしょうか」よりもカジュアルですが、丁寧な依頼表現です。
- おやめください:「お〜ください」で尊敬語に。相手の行為を丁寧に制止します。
- お控えください:「お〜ください」で尊敬語に。相手の行動を遠慮してもらうように丁寧に促します。

↓クッション言葉も活用しましょう♡

・恐れ入りますが、音量を下げていただけますでしょうか。
・申し訳ございませんが、お話しされるのを少しお控えいただけますでしょうか。
・差し支えなければ、その件については後ほど改めてお話しさせていただいてもよろしいでしょうか。
【穏やかな依頼】相手の行動を丁寧に止める言い換え
相手に不快感を与えず、穏やかにその行動をやめてほしいと伝えるための表現を紹介します。クッション言葉や依頼形を用いることで、角を立てずに相手の行動を控えさせることができます。
お控えいただけますでしょうか
相手の行動を穏やかに制止したり、遠慮してほしい気持ちを伝える丁寧な表現です。直接的な禁止ではなく、相手の自主的な配慮を促すニュアンスがあります。

・個人的なご質問は、お控えいただけますでしょうか。
・騒がしいので、もう少しお声をお控えいただけますでしょうか。
・写真撮影はご遠慮いただいておりますので、お控えいただけますでしょうか。
ご遠慮いただけますでしょうか
相手に何かを控えてほしい、やめてほしいというニュアンスで使われます。比較的丁寧な表現ですが、状況によってはやや直接的に聞こえることもあります。

・申し訳ありませんが、そちらの部屋は立ち入りをご遠慮いただけますでしょうか
・プライベートな内容に関するご質問は、ご遠慮いただけますでしょうか。
・会議中の私語はご遠慮いただけますでしょうか。円滑な進行のため、ご理解とご協力をお願いいたします。
ご容赦いただけますでしょうか
自分の都合や過失によって相手に迷惑をかけた際に、理解や許しを求める表現です。「遠慮」や「制止」の意味合いは薄く、「許してください」「大目に見てください」というニュアンスが強くなります。

・書類に不備がございました。大変申し訳ございませんが、ご容赦いただけますでしょうか。
・本日の会議が長引いており、お約束の時間に遅れてしまいそうです。何卒ご容赦いただけますでしょうか。

↑自分の状況を説明し、相手に寛容な対応をお願いする際に用います♡
おやめいただけますか
丁寧で、相手への配慮が強く感じられる表現です。ビジネスシーンでの目上の人や、お客様に対して用いるのに適しています。

・ただいま重要なご説明をしておりますので、私語はおやめいただけますか。
・大変恐縮ですが、こちらの資料への書き込みはおやめいただけますでしょうか。
・現在そのようなサービスは検討しておりませんので、今後しばらくの間、ご連絡はおやめいただけますか。
【困り感を伝える】丁寧にやめてもらう表現
相手の行動によって、あなたがどのような迷惑や困難を感じているかを丁寧に伝える表現です。「〜ので、少し困っています」「〜ため、ご配慮いただけると幸いです」といった言い回しで、相手に共感を促し、行動の改善を促します。

注意をやわらかく伝える言葉って難しいですよね♡
少し困ります
相手の行為によって自分が迷惑や不都合を感じていることを控えめに伝える表現です。直接的な表現を避け、相手に配慮しつつも、困っている状況を理解してほしいという気持ちが込められています。

・明日も朝が早いので、この時間以降のご連絡は少し困ります。
・明日は朝から予定がありまして、あまり遅くまでお付き合いすると少し困ります。
・その件については、あまり触れたくないので、それ以上聞かれると少し困ります。
ご迷惑になりますので
周りの人や組織全体に迷惑をかける可能性がある、ということを伝えるための表現です。相手の行動を直接的に責めるのではなく、「迷惑になる」という客観的な事実を伝えることで、ルールやマナーを守ってほしい場合に適しています。

・近隣の方のご迷惑になりますので、もう少しお静かにお願いできますでしょうか。
・他のお客様にもご迷惑になりますので、今回は見送らせていただきたく存じます。
・他のお客様のご迷惑になりますので、もう少しお静かにお願いできますでしょうか。
差し支えますので
「都合が悪いので」「支障があるので」という意味合いを持ち、相手に配慮を求めつつ、自分の状況を伝える丁寧な表現です。ビジネスシーンでよく用いられ、相手への配慮が感じられる言い方です。

・社内規定に差し支えますので、このような対応はご遠慮ください。
・その話題は少々差し支えますので、別の話にしてもいいですか?
・お取引先の方針に差し支えますので、個別対応は控えさせていただきます。
ご配慮いただけますと幸いです
やんわりお願いする言い方。「やめてください」を直接的に言わず、相手の気遣いに任せる柔らかい丁寧な表現です。

・会議中の私語につきましては、ご配慮いただけますと幸いです。
・ご対応いただく際には、納期についてもご配慮いただけますと幸いです。
【理由を添えて】相手に納得して行動をやめてもらう表現
なぜその行動をやめてほしいのか、具体的な理由を添えて伝えることで、相手は納得しやすくなります。「〜という理由で、ご協力いただけると助かります」「〜のため、ご理解いただけますでしょうか」のように、理由とお願いをセットで伝えることがポイントです。
~のため、ご遠慮いただけますでしょうか
理由を明確にしつつ、相手の行動を控えてほしいことを丁寧にお願いする表現。

・セキュリティ上の理由のため、ご遠慮いただけますでしょうか。
・他の部署への影響もあるため、ご遠慮いただけますでしょうか。
・他の方の迷惑になりますので、ご遠慮いただけますでしょうか。
~の観点から、お控えいただけますでしょうか
方針や立場に基づいて、行動を控えるよう促すフォーマルな表現。文書・会議でよく使われます。

・公平性の観点から、お控えいただけますでしょうか。
・情報漏洩防止の観点から、お控えいただけますでしょうか。
・健康面の観点から、お控えいただけますでしょうか
お願いできますでしょうか
「お願い」ベースの非常に丁寧な表現です。やめてほしいことを指示せず依頼として伝える言い回しです。

・その件は控えていただくようお願いできますでしょうか。
・お手数ですが、ファイル名の修正をお願いできますでしょうか。
・ご確認の上、修正をご対応いただくことはお願いできますでしょうか。
【状況によっては強めに】それでもやめてほしい時の丁寧な表現
上記の表現を用いても相手の行動が改善されない場合に、より強く行動の停止を求める丁寧な表現です。ただし、相手への配慮は忘れずに、「重ねてお願いがございますが」「大変恐縮ですが」といった言葉を添え、毅然とした態度で伝えることが重要です。
誠に恐縮ですが、おやめいただけますようお願い申し上げます
かなり丁寧でかしこまった依頼。「やめてください」を最大限の敬意で伝える言い方。

・誠に恐縮ですが、それ以上の詮索はおやめいただけますようお願いいたします。
・誠に恐縮ですが、機密保持の都合上、そのご発言はおやめいただけますようお願い申し上げます。
・誠に恐縮ではございますが、直接のお問い合わせはおやめいただけますようお願い申し上げます。
重ねてお願い申し上げますが、お控えいただけますようお願いいたします
以前もお願いしているが改善されていない場合に使う、繰り返し丁寧に伝える表現です。

・何度もお願いしていますが、時間外の連絡はお控えいただければと思います。
・重ねてのお願いとなり恐縮ですが、SNSでの共有はお控えいただけますようお願いいたします。
・重ねてお願い申し上げますが、私用メールのご利用はお控えいただけますようお願いいたします。
これ以上はご容赦ください
これ以上続けると対応できない・耐えられないとやんわり主張。限界を伝える表現です。

・これ以上のご要望にはご容赦ください。
・これ以上の無理なお願いはご容赦ください。
・納期の延長については、これ以上はご容赦いただければ幸いです。
・話題がつらくなってきたので、この辺でご容赦いただけませんか。
「やめてください」の言い換えと例文:場面別
「やめてください」という直接的な表現は、ビジネスシーンや目上の人に対して使うには命令調な印象になることもあります。より丁寧で状況に合った言い換えを使い、相手に配慮しましょう。
ビジネスメールでの注意・制止する場面
言い換え:
お控えください/ご遠慮ください/ご配慮いただけますと幸いです
使い方のポイント:
相手の行動をやめてほしいとき、命令口調にならないようにクッション言葉や丁寧な依頼表現を用いるのがポイントです。
例文:
- 社内ルールに基づき、今後の再送信はご遠慮くださいますようお願い申し上げます。
- 不正確な情報の共有は誤解を招くため、差し控えていただけますようお願いいたします。
- 他のお客様への影響が懸念されますので、そのような対応はお控えいただけますと幸いです。
上司への報告・お願いメール(やんわり伝える)
○○部長
お疲れ様です。〇〇の件について、確認いたしました。
今後は混乱を避けるためにも、関係部署へのご連絡はまず私どもを通していただけますと幸いです。
ご多忙の中恐縮ですが、ご配慮いただけますようお願い申し上げます。
クレーム対応・トラブル回避の場面
言い換え:
お取りやめいただけますか/ご配慮いただけますと幸いです/ご理解いただきますよう
使い方のポイント:
感情的にならず、事実ベースで冷静に丁寧に伝えることで、相手の反発を防ぎます。
例文:
- トラブル防止の観点から、該当行動はお控えいただきますようお願いいたします。
- 他の利用者さまのご迷惑となりますので、ご理解いただき、ご遠慮いただければと存じます。
- ご指摘ありがとうございます。ただ、誤解を生む表現となっておりますので、今後はお取りやめいただけますようお願いいたします。
社内・同僚へのやわらかい注意をする場面
言い換え:
控えていただけると助かります/避けていただけるとありがたいです/できればご配慮を
使い方のポイント:
同じ立場の人にはフランクすぎず、やんわりと伝える表現を使うのが適しています。
例文:
- 会議中のスマートフォンの使用については、控えていただけると助かります。
- みんなが使うスペースなので、できれば次回からご配慮いただけると幸いです。
- 休憩スペースでの通話は、ほかの方の集中に影響があるため、避けていただけるとありがたいです。
取引先・顧客へのお願いをする場面
言い換え:
差し控えていただけますでしょうか/今後はお控えいただけますと幸いです/ご理解をお願い申し上げます
使い方のポイント:
相手が顧客や上位の立場にある場合は、遠回しでも丁寧な依頼にすると関係が円滑になります。
例文:
- 誠に恐縮ですが、価格に関するご要望については差し控えていただけますでしょうか。
- 弊社の業務上の都合により、今後そのご対応はお控えいただけますようお願い申し上げます。
社外に対する柔らかい注意喚起メール文例
○○株式会社 〇〇様
いつもお世話になっております。
大変恐縮ではございますが、今後の対応につきましては一部ご配慮いただき、メール以外でのご連絡は差し控えていただけますと幸いです。
誠に恐れ入りますが、何卒よろしくお願い申し上げます。
SNS・コミュニティ・チャット上でやんわり注意する場面
言い換え:
ご遠慮ください/お控えいただければ幸いです/その点はご配慮いただけますと幸いです
使い方のポイント:
誰が読んでも不快にならないよう、丁寧で簡潔に。フォーマルすぎず自然に。
例文:
- コメントありがとうございます。誹謗中傷にあたる内容はご遠慮ください。
- 特定の話題が繰り返されると混乱が生じるため、お控えいただければと思います。
- みなさんが安心してご利用いただけるよう、ご発言にはご配慮いただけますと幸いです。
社内でのやんわりとした注意メール
業務中の私用スマートフォンの使用につきまして、業務への影響が出る場面も見受けられますため、可能な限りお控えいただけますようお願い申し上げます。ご理解とご協力のほど、よろしくお願いいたします。
まとめ
「やめてください」を丁寧に伝える表現は、相手の気持ちを尊重し、良好な関係を維持するために重要です。ビジネス、プライベート、メールなど場面に応じた言い換えと具体的な例文を紹介。直接的な表現を避け、相手への配慮を示すことで、角を立てずに理解を得やすくなります。状況に合わせた丁寧な言葉遣いを身につけましょう。参考にしてみてください。