「致しかねます」は、ビジネスシーンでよく使われる丁寧な断り方ですが、「失礼に当たらないか?」と不安に思う方も多いのではないでしょうか。この記事では、ビジネスシーンでの「致しかねます」の意味や使い方、具体的な例文とともにご紹介します。この表現をマスターして、相手にしっかりとあなたの意図を伝えましょう。
「致しかねます」って、できないということなんですよね?
そうですね。「致しかねます」は、することができませんと丁寧に断る表現です。
「致しかねます」の意味と敬語
「致しかねます」は、「(ご依頼などに応えたくて)したい気持ちはあるのですが、残念ながら、何らかの理由で、そのようにすることができません」というニュアンスです。
「致す」 は「する」の謙譲語で、相手に敬意を払って自分の行動を表現する敬語表現です。
「かねる」 は丁寧語で、何らかの理由や事情によって、その行為が難しいことを表します。
「致しかねます」とは、できないことを婉曲に伝えます♡
「致しかねます」と「いたしかねます」どちらを使う?
「致しかねます」と「いたしかねます」の使い分けは、文法的には明確な違いがありますが、実際には厳密に区別されなくなっています。
「いたします」:補助動詞として働き、他の動詞を丁寧にするために使われます。例えば「お願いいたします」とは「お願いする」という動詞を丁寧にした表現になります。
「致します」:単独で動詞として働き、「する」を謙譲語で表します。例えば「弊社が致します」です。
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「致しかねます」の使い方と例文
「致しかねます」は依頼や要求を断る際に、相手の気持ちを配慮しながら、やんわりと断るために使われます。ビジネスシーンや目上の人に対して使えます。
↓「致しかねます」はこんな時に使います♡
相手の要求が難しい場合: 相手の要求が実現不可能である場合や、依頼を断る時、受け入れることが難しい場合に用いられます。
・その件については、現段階では対応致しかねます。
・この案件に関しましては、諸事情によりお引き受け致しかねます。
・誠に申し訳ございませんが、貴社の要望に沿うことは致しかねます。
「致しかねます」を使う時は、クッション言葉を使ったり、こんな言い換えをすると良いですね♡
1)恐れ入りますが、~することは致しかねます。
例文:恐れ入りますが、現在のシステムでは対応することは致しかねます。
2)誠に申し訳ございませんが、~することは難しいかと存じます。
例文:誠に申し訳ございませんが、在庫不足のため、即日発送することは難しいかと存じます。
3)~の都合上、~することは致しかねます。
例文:担当者の都合上、ただいまお電話での対応は致しかねます。
4)~という事情がありまして、~することは難しいです。
例文:現在の人員不足という事情がありまして、すぐに対応することは難しいです。
相手に失礼なく断るためのコツ
「致しかねます」は、ビジネスシーンで断りを伝える際に使える丁寧な表現です。しかし、使い方を誤ると、相手を不快にさせてしまう可能性もあります。
代替案を提示する
「致しかねます」と伝えるだけではなく、なぜそうなのかを説明したり、代替案を提示したりすることで、相手への配慮することができます。また、必要に応じてフォローアップをすることで、より丁寧な印象になります。
【取引先との会話】
ご依頼の商品は、人気のため品切れでございます。残念ながら、納期までのご用意は致しかねます。しかしながら、類似商品でございますが、[代替案]はいかがでしょうか?
ご提案ありがとうございます。社内で検討いたします。
「致しかねます」と【代替案】が適切に使えていますね♡
上の会話をみてみましょう。
残念ながら:品切れで納期に間に合わないという状況に対して、相手の立場に立って残念な気持ちを伝えています。
代替案の提案: ただ残念なことを伝えるだけでなく、代替案を提案することで、相手への気遣いを示しています。
具体的な理由を説明する
単に断るだけでなく、なぜそのようになってしまったのか、具体的な理由を説明することが大切です。理由を説明することで、相手に理解してもらいやすくなり、印象も良くなります。
・検討いたしましたが、誠に残念ながら、今回は予算の都合上、お引き受け致しかねます。
・慎重に検討いたしました。しかしながら、現時点では、弊社の事業に沿うものではないため、お受けすることが致しかねます。
最後に、「今後とも、何卒よろしくお願い申し上げます」などを使い、丁寧に聞いてくれたことに対する感謝の気持ちを伝え、丁寧な言葉遣いで締めくくりましょう。
「ご〜致しかねます」は正しい使い方?二重敬語?
「ご〜致しかねます」は、一見すると「ご」という尊敬語と「致しかねます」という謙譲語が重なって二重敬語のように思えますが、実はそうではありません。
「ご〜致しかねます」の敬語のつくりをみていきましょう♡
【謙譲語】ご〜致しかねます
・ご〜致しかねますとは、「ご提案致しかねます」のラインの部分で謙譲表現になります。
(謙譲語の「ご」を付けて、「いたす」が謙譲語という理解でも問題ありません)
・謙譲語とは、自分を低めて相手を高め、相手への敬意を表すことです。
「致しかねます」と「できかねます」の違いは?
「致しかねます」は、そうしたいけど、何かしらの理由や事情があって、その要求に応えられないことです。
「できかねます」は、物理的に不可能であるためにできないことを表します。「できかねます」の方が否定的なニュアンスが強くなります。
ビジネスシーンで使える「致しかねます」の言い換え表現
「致しかねます」の言い換えです。「依頼や提案」を断る時の丁寧な表現のため、目上の人や敬意を払う場面で使うことができます。
「お力になれず申し訳ございません」
意味:相手の希望を叶えることができなかったことに対するお詫びの気持ちを表します。相手への敬意と、申し訳ない気持ちが伝わりやすい表現です。
使い方:目上の人や、丁寧な対応が必要な相手に対して使います。
例文:ご依頼の内容をですが、誠に恐縮ですが、現時点ではお力になれず申し訳ございません。
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「お役に立てず、申し訳ございません」
意味:依頼や相談に対して、お役に立てるような成果や解決策を提供できなかったことをお詫びする表現です。
使い方:目上の人や、丁寧な対応が必要な相手に対して使います。
例文:ご希望の時間にご案内が難しい状況です。お役に立てず、申し訳ございません。
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「ご希望に添えず、誠に申し訳ございません」
意味:相手の希望通りに叶えることができなかったことを丁寧にお詫びする表現です。
使い方:目上の人や、丁寧な対応が必要な相手に対して使います。
例文:ご希望の納期にお届けできず、誠に申し訳ございません。
「見送らせていただきます」
使い方:「いただく」が使われていることで「お見送りさせてください」よりも丁寧な敬語表現です。
例文:残念ながら、この企画は見送らせていただくことになりました。
「遠慮させていただきます」
意味:相手の提案や依頼を丁重に断る際に使います。相手に配慮し、やんわりと断るニュアンスが強い敬語表現です。
例文:ご親切にありがとうございます。しかし、今回は遠慮させていただきます。
まとめ
「致しかねます」は、ビジネスシーンでよく使われる丁寧な断り方ですが、使い方によっては相手に失礼な印象を与えてしまうことがあります。この記事で紹介したコツや言い換え表現を参考に、状況に合わせて適切な言葉を選び、相手に失礼なく断るようにしましょう。